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世界で最も美しい言語と言われるフランス語をどんな小さな通りすがりにも真剣に教える誇り高きフランス人がわたしは好きだ。

高校でフランス語を選択した息子が、フランス語の発音で悶絶している。

euとeauの発音を逆に覚えたとかで。テスト失敗とかなんとか・・・。

息子が編み出したのが、サッカーのフランス人選手の名前から発音を覚えていくというものだった。なるほど!それはいいじゃないか。といいつつ、サッカーのネイマールすらよく知らないわたしに「これ」という事例があげられないのが残念だ。

一応、わたしもフランス語を選択したのだがほぼ忘れている。でも見栄を張らねばならぬため(理由は聞かないでほしい)、「じゅすぃ♪」とか「せぼーん」とか知っているフランス語を並べてみた。


「めるし」「めるしぼーく」

「なんていう意味?」この質問は、中学生の娘が。

「さんきゅー。さんきゅーべりまっち、だよ」

「へー!ほかにないの?」

「じゅてーむ」

「それは?」

「あいらびゅー♪」

「へー!ほかは?」

「ぼんじゅーる。ぼんそわ」

「それは?」

「はろー!ぐっどいーぶにんぐ」

「ほかは?」


もう・・・ネタ切れだ。

「んんんん・・・アルセーヌ・ルパン」

「それはどういう意味?」

え?意味・・・????


中学生の質問は、時に難解である。というか、ルパンを知らんのか!怪盗紳士ルパンを!!!!わたしが小学生の時に読んだシリーズはこれ!これ以外なにがある!!!


フランスはパリでちょこっと過ごした時、「地下鉄」の「métro」を道端で聞いたら、発音を直された。フランス人は「r」の発音に非常にうるさい。ほんとうに直すのか!と心底感動した。で、言えるまで離してくれない。時間のあるなしはどうでもよいらしい。自分も他人も。それよりも大事なのは、正しく美しい本物のフランス語をこの目の前の小さなジャポネーゼに教えることだ!パリで買い物をするたびに、スーパーのおばちゃんたちはみんな、わたしにフランス語を教えてくれたのだ。わたしをだました公園のカメラじじいでさえも。

その時思った。日本人も誇り高く日本語を使えばいいのだ。なぜ頑張って英語で答えようとする。みんな日本語を知りたくて聞きたくて来ているのではないか。特に学生は!違うのか?日常的なことは日本語でいいじゃないか。少しでも日本語を知ってほしいではないか!日本語は美しいのだ。ものすごい語彙量。様々な熟語、慣用句、擬態語。一つでも知ってほしい。

道端の日本人達よ。もし外国からいらした旅行者から何か聞かれたら、美しい日本語を教えてあげよう。旅行者が、まるっきりわからず心細くならない程度に英語をいれよう。

日本語の難しいところってどこなんだろう。みんなが知りたい日本語ってどんな日本語なんだろう。それを考えると、わくわくする。

ただいまフランス語「R」の発音で、胃の中の物がひっくり返りそうになっている息子が「アルセーヌ・ルパン」の発音に四苦八苦しているが、残念だったな息子よ。

「Arsène Lupin」ルパンの「ル」は吐かなくていい。

Lだ、L。


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