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散歩しながら君のことを考える

わたしはたぶん
自分が幸せになることを恐れている

平日にズル休みをして
知らない駅で降りて
気の向くままに散歩するタイプ

君は計画を立てるのが好きで
当日どこかに出かけようとしても
目的地が決まるまでには家から出ないタイプ

きっと
君と一緒にいることはわたしにとって一種の幸せだと思う
ふかふかな枕に
少し骨っぽい君の背中

エアコンの音とランプのせいで眠れなくなるわたしと
君の寝息

すべては当たり前のように流れていて
ただ
破壊寸前の匂いもする

金木犀の季節になると君と散歩したくなる
近所の小学校と公園のブランコ
隣の喫茶店と歩いて10分の河辺

幸せはずっと近くにいる
目を閉じればたぶん手に入れられる

それでもわたしは

わたしは迷子になる

気がつくと

迷子になる

わたしという迷路
手錠もかけられて
口も塞がれて

息苦しく出口を探す

君はすぐそばにいることに
きっと気づかない

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眠れない夜に

70億分の1の私を見つけてくれてありがとう。