見出し画像

小学校の同窓会に参加したかった

 先々週の土曜日に小学校のクラスメイトがWeChatのグループで同窓会したいね、の話をして。そこからたみんなどんどん知ってる同級生をそのグループに入れ始めた。転校生も入れて57人もあるクラスなので全員集合はかなり難しい。それでもみんなの努力によって今は47人くらいの大きなグループになった。

 同窓会を企画しているのは昔クラスの中で1番身長が高く、やんちゃな女の子だった。小学生にして国のバレーチームにスカウトされ、その後もずっとバレーの練習をしていたらしい。彼女は小学6年間ずっとベリーショートの髪型で、女子力の高い部類には入らないタイプの女の子だった。だけど今は1番最初に子供を産み、2歳の男の子の母親になっていた。結婚式の写真もWeChatに載せてもらっていっぱい見たんだけど、本当に綺麗で、あの喧嘩ばっかりしてた子がこんなエレガントに……驚きの連続だった。もう1つ驚いたのは、彼女は昔どちらかと言うとクラスの嫌われ者の立ち位置だったのに、大人になって彼女の明るさに惹かれる同級生が増えたみたいだ。みんな集まろう〜て言ってくれるのも彼女くらいしかいない。
 わたしと同様、海外にいる組もグループに入れてもらったので、実際参加できる人は12人しか居なかった。10数年後初の同窓会にしてはいい方かな。参加メンバーはわたしの事が好きだった男の子3人、わたしが好きだった男の子1人、大人になって綺麗になった女の子3人(とても羨ましかった)、残りは当時それぞれ仲良かった人達とか、席が近かった人が来てた。
 食べる料理は火鍋に決まった、やっぱり四川と言えば火鍋だよね!とみんな盛り上がってた。わたしも久しぶりに自分の音量を気にせずわいわいしながら火鍋食べたいな〜と羨ましがってた。
 同窓会の途中、海外組はその様子が気になるから動画送ってっとお願いをした。みんな楽しく酔っ払ったせいで動画はわずか3秒、その後の写真もブレブレだった。でも何となくこの人はこの人だなー大人になったな〜もう中年太りかよー!て盛り上がってた。
 主催者の子はお酒強くて、ずっと呑んでたらしい、そして案の定潰れて当時隣の席に座ってたXくんに家まで送ることになった。Xくんはお酒に弱く、全然呑めないのに盛り上がりが上手な人の隣に座ったせいでビールと白乾児などなど呑まされた、らしい。とにかく酔っ払い2人が代行を頼んで一緒に帰ることになりました。
  そしたらグループチャットに、Y子が本当にうるさいしめんどくさいから誰か彼女に電話して話に付き合ってあげてよ!てメッセージが来た。そういう楽しそうな酔っ払いと絡むことが大好きだし、それに困ってる人と絡むのも大好きだからX君に音声通話をかけた。
  「なんで?俺の方にかけるんだよ!!!」
  「面白そうだからに決まってるじゃんあはははは2人とも酔ってるの??」
 「あのバカの話を信じるなよ!わたし酔ってないし、ちゃんとしてる!ね!運ちゃん??」
 「Y子ほんとに黙れ、絶対酔ってるじゃん。マジで俺の話きいて、あいつ本当に酔っ払っててめんどくさいの!」
 「あれ?X君はしっかりしてるの?酔ってない?」
 「俺は酔ってない酔ってない、ただ、呑みすぎただけ」
 「いや、それ酔ってる!てことだよあはははは」
 「だよね?!N子!あいつ酔ってるのに認めない」
 「お前は黙れ!!俺ほんとに酔ってないもん」
 「じゃあ今日どう楽しかったか教えてよ」
 「あのね、N子、今日めちゃくちゃ楽しかったよ、昔の話いっぱい話した」
 「いや、それはわかるけど、具体的に!どう面白かったの」
 「あのね、L君が俺と喧嘩して、俺が彼の歯を2本折った話とかあははははははははは」
 「そんな事あったの?!ばっかじゃないのあははは〜」
 「あとね、あとは、G君は銀行に就職して、T君も仕事してるけどよく覚えてなくて、D君はマジかっこよかった」
 D君がわたしの初恋の男の子でした。やっぱり今のカッコいいのか〜いいな〜
 「それでそれで?」
 「あのね、俺お酒弱いのに、G君にめちゃくちゃ呑まされて、もう覚えていないんだよ!」
  「じゃあやっぱり酔っ払ってんじゃん!!」
 「酔っ払ってはいないんだよ、Y子だよ酔っ払ってるのは」

 まあ、かれこれ1時間以上酔っ払いの内容のない会話に付き合って、面倒くささよりも、懐かしくて嬉しい気持ちの方が多かった。X君がY子を家まで送り、1人で彼女のアパートまで行く途中も2人で通話してた。

 「N子さ、俺の顔の傷覚えてる?」
 「いや、あったことは何となく覚えてるけど……」
 「それさ、2年生の時に君と喧嘩して君が引っかけたやつだよ、10何年もずっと俺の顔に残ってんだよ」
 「えええええ!本当に覚えてないけど、ごめんね!!!あの時すぐ喧嘩するからそんな深い傷になったんだ」
 「でもね、俺は嬉しいんだよ。この傷を見るたびに、これをやった女の子、今元気にしているのかなって。」
 「……」
 「この前実家帰った時も、お母さんにそう言えば君の顔の傷をつくった女の子最近どうしてるの?て聞かれたんだよね」
 「……」
 「ああ!あと、初対面の人とかに、顔の傷どうしたの?生まれつき??て聞かれるの。そしたら必ず、小学校2年生の時に近くに座ってた女の子と喧嘩になって、その子がやったやつなんだよははははって説明するの」
  俺の10何年間はこの傷と一緒に生きてきて、最近少し薄くなって来た気がして、悲しくて寂しくて仕方ないんだよね。これを見るときも、N子はなんてことしてくれてたんだ!の気持ちは全くなくて、小学生時代の楽しいことばかり浮かんでくるの。むしろありがとう!」
 「わたしの方こそありがとう…」
 「N子はさ、いつこっちに帰ってくるの?久しぶりに会いたいね」
 「早く帰りたいしみんなに会いたいけど、コロナの関係で中々無理なんだよね」
 「そうだよね、また厳しくなってきてるしね」
 「あのさ、もし次戻ってきた時、さらに薄くなってたら、わたしもっかい爪で引っかけるよ」
  「そこまでしなくていいよ!!痛かったんだよ!」
 「まあまあ、わたしに任せて」
 「とにかく、元気でね、帰ってきたまた会おうね」
 「うん、X君もね」

 と電話を切る。

 わたしは6畳もない部屋の、2畳もないロフトの上で1人で号泣した。ああ、明日ももう少し頑張って生きようと思った。
 ありがとう、わたしのかわいい被害者たち。

この記事が参加している募集

70億分の1の私を見つけてくれてありがとう。