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思い出の切れ端

旅の行く先
広い公園をゆっくりお散歩して
穴場の温泉地で足湯を二人じめして
古い喫茶店、常連客に混ざって朝ご飯を食べた。
訪れた福井の東尋坊で
波の打ち付ける音を聞きながら
坂をゆっくり登っていくと
昔ここに来たことがあったかもしれない、と思った。
この坂を、商店街を歩いて、貝殻のお土産を買ってもらった。
20年も前じゃないだろうか。
もはや記憶の切れ端くらいしか思い出せず
ほとんどいつか見た夢の中の出来事のようだ。
嬉しいとか、悲しいとかではなく
ただ懐かしいということしか感じられず、
しかしただ懐かしいというだけで
私は泣きそうになった。


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