ワインのお話(Vol.5)
皆さんこんにちは、若者に色々役に立つ情報をたまに呟いているおじさんです。
これまでワイン単体の味と香りでお話をしてきましたが、やはりワインは料理と一緒に飲むのが一番美味しい飲み方だと思います。日本人として生まれた僕の幸運は、美味しい世界中の食べ物を日常的に食べることができる美食の国に住んでいるということかなと思っています。金額は色々ですが、世界中のあらゆる料理を一定の品質で食べることができる国は、日本くらいではないでしょうか。もちろんどこの国にも一定の外国料理を出すお店はありますが、全て揃っているわけではなく、またアメリカやシンガポールなどは確かに多様な国の食が集まっていますが、かなり高額な金額を支払わないと一定のクオリティの料理には出会えないのではないかとお思います。良い点でも悪い点でもありますが、日本の特徴は良いものをリーズナブルな金額でというのが根底にある国だと思うんですよね。ファミレスのクオリティを知ると、外国人はそのコスパに驚きます。日本人が海外の一定のクオリティのレストランで、値段の割に味は普通と感じる事が、日本の食へのこだわりとその中で育った民族特有の感覚を育てているのだと思います。
さて、そんな食のこだわりの国日本には日本食という世界に誇る料理があります。その中でも特徴的な調理法は、生の食材を生かすもの、繊細な出汁を使った煮物、醤油という実はフランス料理の隠し味としても昔から使われている魔法の発酵調味料を使った料理などがあります。生の食材を使う代表的な料理として、寿司や刺身があります。そしてそれに合わせるのは煮切り醤油や生醤油です。生魚と合わせるのが難しいと思うのがワインです。ワインと一緒にお刺身や寿司を食べるとどうしても生臭さを強調してしまうため、通常であれば、無難に日本酒をチョイスします。そして、美味しい出汁で調理した魚の煮付けなどもやはりワインとの相性が難しい料理だと思います。そんな中で僕が出会ったのは友人に連れられて行った金沢のお寿司屋さんで発見した日本のワインでした。勝沼酒造のアルガブランカ クラレーザです。これは甲州葡萄を使って作られた白ワインで、穏やかな柑橘系の香りと仄かな樽香のする単品で飲むととてもおとなしい印象のワインです。しかし、このワインの真価は日本食と一緒に飲んだ時です。日本酒は料理と共に飲む事で、口の中をスッキリさせ次の料理へと誘う役割ですが、ワインは料理と一緒に飲むと、ワインも料理も単体と比較するとより美味しくなることを目的にペアリングします。その場合ワインのアロマや味と料理の味と香りを同じ方向で揃えるというやり方が基本になります。エクストラヴァージンオリーブオイルに岩塩を混ぜ、それに付けてフランスパンを頬張りながら、シャンパーニュを飲むこれは最もオーソドックスなマリアージュ(ワインと料理の素敵なペアリング)になります。では、クラレーザと出汁の効いた煮物や刺身は何故会うのでしょうか。これは僕の個人的な推測ではあるのですが、日本食はさしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)で味をつけますがここに加えて旨味(出汁)という第6の調味方法を用います。(そういう意味では味の素という会社はきっとこういう文化だから生まれた会社なのかもしれませんね。)煮物などはあらかじめ調理の過程で旨味を追加しますが、刺身などは魚本来の旨味とそれを付ける醤油(や出汁醤油など)の旨味の相乗効果で美味しくなる料理です。そこにマリアージュさせる方法はというと、旨味を含んだワインをペアリングするというやり方ではないでしょうか。クラレーザの製法は、醸造過程で澱(おり)と呼ばれる発酵を終えた酵母の沈殿物が生まれるのですが、これを澱引きと言って取り除く製法とは別に、そのまま澱と一緒に寝かせるという製法(シュール•リー製法)があります。こうする事でワインに酵母の旨みが加わるのですが、この旨味と和食の旨味が相乗効果をもたらすのではないかという考え方です。ワイン自体は控えめな、例えば料理の仕上げに香り付けを行う柚子や酢橘のような役割がありつつ、口に含むと感じる酵母の旨味と和食が本当によく調和しお互いを高め合うのが、クラレーザと和食のマリアージュなのではないかと思います。
フランス料理の世界では、デザートにすらワインをペアリングする事がありますが、多くの場合、貴腐ワイン、酒精強化ワイン、アイスワインなどがペアリングされるようです。この中でもアメリカの出張が多かった僕には空港のワインコーナーでよく見かけたアイスワインをよく飲んでいました。日本へ持ち込む際に1本あたりの容量と本数で非課税枠が変わるのですが、アイスワインは通常のワインボトルより細身で、量量も少ないため日本へ持ち込む際の非課税枠で多くの本数を持ち込めるという説明を聞いたことから、買ってみたのが始まりです。アイスワインは通常の760mlのボトルの半分のサイズの細身のボトルを採用しているため、通常なら3本までの非課税枠を6本にできるようです。実際僕も税関で普通のワインを2本とアイスワイン2本を持ち帰り、非課税で税関を通る事ができました。ただ、多くの皆さんが税関で課税されるのを嫌がりますが、実は1本100円以下しか課税されないんです。だから海外でワインを多く買い付けて持ち込んで、税関で税金を払ったとしても、日本で買うよりはるかに安く高品質なワインを持ち帰る事ができるので、躊躇わず欲しいものを荷物の重量が許す限り買って帰るのをお勧めします。海外で国内消費用に作られているワインの多くは、酸化防止剤(亜硫酸塩)を加えていないものが多く、ワイン初心者が二日酔いになるのはこの酸化防止剤が原因ではないかと僕は考えています。実際カリフォルニアに行って現地で結構深酒をしても翌日に全然残っていない事が多く、この点でも酸化防止剤二日酔い説はあっているのかなと思います。僕がよく購入していたのは、イニスキリン アイスワインというカナダのワインです。このメーカーは色々なアイスワインを作っているので毎回違う種類を買って帰って楽しんでいました。アイスワインはデザートの代わりに飲む方法もありますが、僕個人は生のグレープフルーツを搾り、凍らせてシャーベットを作ってそこにかけて一緒に食べるというやり方が好きでした。アイスワイン単体では本当に甘いので少量しか飲めないのですが、このようにデザートのソースとして使う方法も面白いのではないかと思っています。(若干邪道ですけど)
これまでワインのお話として5つのnoteを書いてきましたが、ワインは本当に色々なマリアージュがあり、そしてワイン自体の特徴も様々で、更に赤、白、ロゼ、スティル、スパークリング、貴腐、アイス、酒精強化などさまざまな製法と種類があります。皆さんも色々あるワインを楽しんでみてください。
サムネはAdobe Firefly BetaのAI画像生成「Enjoy a delicious glass of wine while admiring the beautiful vineyards. Fuji is magnificent in the background.」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?