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最先端技術に触れながらAIの可能性を追求。技術視点とユーザー視点の両立ができる環境で、描く未来とは

NTTデータ・スマートソーシング(以下、NDSS)でAI・RPAを活用した業務効率化やビジネス拡大を支援しているITO事業本部 ビジネスプラットフォーム&AI・RPA部。そこでAI技術の研究開発を担うエンジニアである石丸さんに、NDSSにおけるAI開発の現在と未来のビジョンについて語ってもらいました。最先端のテクノロジーを実際の業務にどのように活用できるのか、“技術視点”と“ユーザー視点”を両立した活躍の秘訣を聞きました。

石丸 圭(いしまる けい)
ITO事業本部 ビジネスプラットフォーム&AI・RPA部
研究技術開発担当

2011年、NDSSの前身であるNTTデータ・アールに入社。スマホアプリの開発の経験を活かし、システム開発に従事する。NDSS統合後、AI技術の台頭をきっかけにAIテクノロジーに興味を抱くようになり、より専門的な知見を深めるべく、2019年ビジネスプラットフォーム&AI・RPA部へ異動、現在に至る。

異動か転職か。AIの追求に向けて選んだキャリア

―現在までのご経歴について、教えてください。

2011年、NDSSの前身となる企業に、SIerとして入社し請負開発を手掛けていましたが、2017年頃、AIが台頭しはじめたことをきっかけに「AIを活用できる開発者」という存在への可能性や将来性を感じはじめ、AIエンジニアのキャリアを志しました。
転職も視野にいれつつ、AI領域に興味があることを社内で相談したところ、当時の役員から「そういう悩みがあるなら、こういう部署があるけど、どう?」と紹介を受けたのが今の部署です。異動したことでかなり自由に開発をさせてもらえているので、転職しなくてよかったですね(笑)。

要望を受けて作るのではなく、先回りして仕掛ける側へ

―現在のプロジェクトについて、詳細を教えてください。

私の所属している「研究技術開発担当」のミッションは、最先端技術を通じて、全社およびクライアントの業務効率化や利便性向上を支援することです。このミッション実現に向け、私は現在、「自然言語認識」「音声認識」の領域をテーマに、AIを軸とした研究開発を手掛けています。

たとえば「自然言語認識」領域のAI開発は、社内のチャットボットに活用されています。新型コロナウィルスの影響によるリモートワークの推進に伴い、社内の規定やシステムについての不明点を気軽に聞けなくなった、といった問題が発生していましたが、AIが入力された問い合わせ内容を認識し、自動で問題解決のページに誘導することが可能となりました。

また、「音声認識」領域では、コールセンターのオペレーター品質向上における、モニタリング(各オペレーターの応対の評価・改善)の自動化を手がけています。当社の主軸であるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業本部が担うコールセンター業務のサービス品質は、オペレーターの応対に大きく依存します。センター長などの管理者がモニタリングを行うことで品質を担保していますが、1つのセンターに40名ほどいるオペレーター全員分を人が確認すると、膨大な工数がかかってしまいます。

このモニタリングに音声認識の技術を導入することで、自動で大量の応対音声を評価することができるようになります。「正しい敬語で話せているか」といった定量評価や「明るい声で話せているか」といった定性評価も可能になります。管理者の工数削減はもちろん、人間だと生じやすい評価のばらつき・不透明性の解消にもつながります。

―そうしたプロジェクトは石丸さん起点でスタートしたのですか?

はい。私が研究開発職に就いた当初、チャットボットの市場調査をする機会がありました。調査を進めていくうち、チャットボットそのものに非常に大きな可能性を感じたんです。社内への活用を検討するとともに、他社が活用している既製品もチェックしてみました。ですが、既製品には制限があり、そのままNDSSで利用するのは難しい状況でした。
そこで、AzureやGCPなどのクラウド基盤を使って当社にとって理想的なUIを持つチャットボットと運用ツールの開発に着手することに。実際に運用をする社員に使ってもらいながら試行錯誤を重ね、現在の実用化に至っています。

モニタリングの自動化についても、「音声認識技術を社内でどう活用できるだろう?」と考えて、BPO事業本部の社員に現状をヒアリングしたことがスタートでした。管理者のモニタリング工数に課題を感じているという話を聞き、「音声認識」を組み合わせれば解決できると確信。提案を経て現在の開発につながりました。

どちらも技術起点で、社内の課題を解決できるアイデアにつなげていった事例ですね。

技術視点とユーザー視点。バランスを取りながら、AIの可能性を追求する

―市場の技術トレンドをスピーディにキャッチし、実地型で技術を試せる。エンジニアの方にとっては、このうえなく魅力的な環境ですね。

そうですね。特にAI領域は、今期でさらに面白くなりそうだと踏んでいます。たとえば、今はシンギュラリティの先駆けとして「Chat GPT」が話題となっています。いままで「AIではできない」と考えられていたことが、どんどん実現していっています 。RPA領域に関しても、当社では「WinActor」「UiPath」などのツールや「BPMS(ビジネスプロセス・マネジメント・システム)」を実現するためのサービス「Appian」など、国内だけではなく海外製の先端技術・ツールを幅広く研究できる環境です。テクノロジーに興味がある方にとって、新しい技術に触れられるAI・RPA部はとても面白いのではないでしょうか。

一方、気をつけるべきなのは、システムを手掛ける際は常に「ユーザー視点」を忘れてはならない、ということです。「AI・RPAで具体的に何ができるか」を正確に理解できているユーザー(社員)は多くはないため、寄せられる要望も曖昧であることが多いのです。だからこそユーザーの要望にそのまま答えるのではなく、本質的な課題を発見するための仮説立案、ヒアリング、課題抽出を実施したうえで、AIの活用方法をこちらから提案することが求められます。

新しい技術に触れることは非常に楽しいですが、それ自体を目的にしては本末転倒です。先端技術とユーザーの隠れたニーズを掛け合わせ、解決策に結びつける。いわば「問題解決力」と「提案力」を備えた方であれば、間違いなく楽しめると思います。

―「ユーザー視点」の他、マッチしそうなスキルはありますか?

海外製の先端技術・ツールを扱うにあたり、英語をはじめとした多言語を使うこともあり、入社後でも英語をはじめとした語学力を身につけられれば、部門全体で重宝されると思いますよ。
とはいえ、簡単な翻訳やメールの作成であればAIで対応ができることもあり、入社時点での語学力は一切問いません。英語が使えれば、将来的な活躍の幅が広がるイメージです。

AIで、コミュニケーションに革命を起こす

―今までのお話で、あらためてAIの有用性を感じました。今後は、どのような活用が想定されますか。

昨今、リモートワークをはじめとするオンラインツールへの移行により、コミュニケーションが希薄になっているとも言われていますが、私はむしろこの環境にAIを導入すれば、日々のコミュニケーションの質を上げることすら可能だと考えています。

たとえばオンライン会議にAI技術を挟み込めば、リアルタイムなコミュニケーションの内容をAIが瞬時に自動判断して、発言などの情報を相手が聞こえるまでに編集することもできます。不適切な発言をカットしてコンプライアンスを守ることに留まらず、“評価面談で被評価者が話したアピール内容を、AIがリアルタイムに整理・編集しながら代行して伝えてくれる”といった機能も考えられます。

コミュニケーションにAIが介入することで、口下手やアピールが苦手ゆえに実績に見合う評価が受けられない、といった非本質的な事態を避けることができます。評価側にもAIを導入すれば、将来は「AI同士の面談」になる未来もあり得るかもしれませんね。

―最後に、石丸さんがAIで描きたい未来を教えてください。

将来、私はAIでコミュニケーションに革命を起こすことも可能だと思っています。離れた場所で直接顔を合わせていなくとも、AIを活用することで、より心の距離が近いコミュニケーションを取れる世界観を実現できるのではないか、ということです。

この世の中全体に「そういえば、石丸という変な奴がいたな」と言われるくらいの影響を残せたら、とても面白い。だからこそ、NDSSでこれからも会社への技術貢献は前提としつつ、いろんな技術に触れながら、やりたいことを自由にやらせてもらおうかな、と思っています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです