読後感想 Reality+

心、意識に関わる哲学者、デイヴィッド・J・チャーマーズ が2022年に出した、
Reality+  https://wwnorton.com/books/9781324050346
を読了した。英語版から数えると、足かけ2年ほどかかっている。

元からチャーマーズには、意識に関する哲学者として注目していた。
意識とは?意識の起源とは?意識がなぜ生じたのか?意識の外部化とは?
という幾つかの問いの中で、意識や実在に関する書籍を読み漁る中で出会っている。

チャーマーズの近著の日本語訳は下記である。
リアリティ+ 上・下 著: デイヴィッド・J・チャーマーズ  訳:高橋 則明 NHK出版
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819362023.html
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819372023.html

それなりの分量のある書籍だが、日本語版の前巻はは、ほぼバーチャルな存在、VR、AR、XRを中心に実在について考察している。なかでも私達の世界がシミュレーションではないのか?という問いに惹きつけられる。

この書籍は、日本語版の下巻、第7部からが本論のように思う。
チャーマーズ曰く、"バーチャルな事物も真の実在たりうる"、とされている。
その点に違和感はない。私の些細な体験として、過去に原始的なTVゲームの世界・在りようを初めとして十分過ぎるくらい親しんだせいか、バーチャルな存在の実在性を特に驚くものではない。

また、適切に準備されたコンピュータ・シミュレーションは、物理理論を証明し、構造主義、構造(論理的で数学的な構造)によって記述される世界の論理的構成が正しければ、コンピュータ・シミュレーションは物理理論を真とすることが出来るという知見は、非常に興味深いと思う。

私は、およそ物理法則と数学で構成された世界をシミュレーション・リアリズムとすることに違和感はない。

さて、次はアンディ・クラークの著作、「現れる存在」を読もうと思う。

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