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ゼロコロナ緩和で大混乱の中国経済

一刻も早く逃げるしかない

中国に関わるのはリスクしかない

 残念ながら中国経済は、非常に厳しい状況に陥っているようである。ゼロコロナ政策で、経済活動が大幅にスローダウンしていたが、ゼロコロナを緩和しても、当面は、混乱が続くものと見られる。
 生産活動は、あちこちで停止を余儀なくされ、物流のネットワークも寸断されている。人員を確保できない現場では、活動を停止するほか選択肢がないことも多い。その結果、経済活動は、さらにダメージを受け、中国経済の先行きには、暗雲が立ち込めている。
 このまま推移すれば、2023年も少なくとも前半は、混乱が続くことが予想される。現時点で、経済活動の正常化のめどは見えていない。一部の投資銀行などでは、2023年の中国の経済成長率予想を上方修正したようだが、中国政府の発表する公式統計数値はどうであれ、実態としての経済活動は、さらなる落ち込みを想定すべき状況である。
 中国頼みのビジネスを展開している企業は、速やかに撤退を進めることを推奨したい。サプライチェーンを大幅に中国においているとか、市場としての中国で稼ぐとかいったビジネスの先行きは暗いと見ておいた方が良い。
中国事業撤退に向けて、速やかに動けば、損失を最小限にとどめることもできるかもしれないが、後れを取った場合、損害が拡大することを、覚悟しておくべであろう。これまでの日本企業による直接投資は累計20兆円、現地での留保利益が7.5兆円との推計値があるが、最悪の場合、全損もあり得ないことではない。追加投資や新規投資は、厳に慎むべきである。
 どうしても中国市場を相手にビジネスをしたいのであれば、越境ECのような形態で、中国には極力資産持たずに展開するのが、現実的な対処法であろう。そういった形であれば、急遽事業停止となっても、損失は最小限にとどめることが可能である。

ゼロコロナ緩和で感染が爆発的に広がる

 ゼロコロナは、首都北京でも緩和措置が取られているが、オフィスの出勤者や繁華街の人出は激減し、まだ感染していない市民は外出を控えていると報道されている。来年1月以降も感染者の急増が続くものと予想されており、医療資源が限られていることもあって、極めて厳しい状況に陥るとの危機感が高まっているようである。
 現地では、通常の経済活動に戻るどころか、企業勤務者は、在宅勤務を余儀なくされ、業務の停滞が懸念されている。職場に感染者が発生すると、周囲も含めて、業務継続が困難になるのは、想像に難くない。あくまでも一例に過ぎないが、現地の日系企業でも、従業員の2割程度しか出勤できない状態だとの報道もある。
 また、感染者は、十分な治療を受けることなく放置されているケースも多いようだ。そもそも、通常の医療資源も限られており、爆発的な感染者増には、為す術もないようだ。3年ほど前の流行当初のコロナに比べて、毒性は低下しているが、重症化してしまうと、死に至ることもある。
政府の公式発表では、コロナによる死亡事例は、ゼロということになっているが、それを信じている人は、いないだろう。実際、葬儀場では、葬儀件数が急増し、混雑が続いているとの報道もあり、おそらく、コロナによる死者も少なくないであろうと推定される。
 同様の状況は、北京以外の都市でも起こっているものと見られる。広州の葬儀場でも、葬儀の件数が倍増しているという。相当な影響が既に出ていると考えた方が良いだろう。
 爆発的な感染が、広がっていけば、局地的な混乱では済まなくなる。医療体制は、北京のような大都市でも貧弱だが、地方都市になれば、さらに厳しい状況だろうと推定される。中国のワクチンの効果は、ほとんどないとも言われており、接種を急いでいるようだが、焼け石に水と考えられる。
 このままだと、一日2万人程度のコロナによる死者が発生し、一旦流行が収まるまでの死者数は、200万人に達するとの予想もある。専門家による死者数の予想値には、多少のばらつきはあるが、150万人から200万人程度との数値が並んでいる。

コロナによる経済の低迷は深刻化する

 これまでも、中国経済は、ゼロコロナ政策の影響で、低迷してきたが、今後については、さらなる下振れリスクが高まっている。経済活動をしようにも、できないという状況が発生しつつあるからだ。
 製造業の生産現場においては、実際に生産活動に従事する従業員が、確保できずに、製造ラインを停止している例も目立つ。物流関係の人員確保も難しくなりつつあり、せっかく製造できたとしても、運ぶ手段がないことも多いという。
 今後、さらに感染者は急増する見込みである。複数の予想があるが、12月末から1月にかけて一つ目のピークが来ると見られている。さらに、1月22日は、旧正月(春節)であり、その前後には、中国国内で、人々の大移動が発生するものと予想される。人が活発に動けば、コロナが蔓延するのは、避けられないと言える。そうなると、さらに高いピークが想定される。一日の新規感染者数が、1千万人を超える事態もあり得るのが現実である。その場合、既に今でも医療体制はパンク状態であるため、全く対応できないものと考えられる。症状の重さに関わらず、ほとんどの患者が、事実上放置されるような状況も、考えておくべきであろう。
 社会活動全体が停滞することになり、結果として、深刻な経済の落ち込みは避けられないと予想される。中国の公式統計データの信頼性は、非常に低いため、どのような実態になろうとも、経済成長しているかのような数値が発表されることになると見ている。中国共産党、習近平政権に都合の悪い数値データは、発表されない可能性が高い。大部分は、加工されたデータとなり、実態とは程遠い数値になるであろう。ただ、そうは言っても、企業活動の停滞などは、隠しようもない面もあるので、実態を把握することは、ある程度可能だと考えられる。

民主主義陣営との分断化は進む

 コロナによる混乱が収束したとしても、アメリカを中心とする民主主義・自由主義陣営との分断化もあって、中国経済の急回復シナリオを描くことは現実的ではないと思われる。日本も含めて、中国との経済取引に関しては、段階的に規制が強化されつつある。
 既に、最先端の半導体製造装置については、禁輸措置が決まったが、同様の措置は、先端的な製品から始まって、徐々に範囲を広げていくものと予想される。
 もし、中国が、台湾に侵攻するようなことがあれば、厳しい制裁措置が取られることは間違いない。現在のロシアに対する制裁措置以上の厳しさも想定される。そういった事態に至らなくても、中国との経済関係は、分断化が進むことにはなるため、将来、中国が世界市場において、大きな存在感を発揮することは、難しくなるだろう。

中国依存度の高い企業は、速やかに撤退シナリオを実行すべき

 日本企業の中には、サプライチェーンの一部ないしは大部分を中国に依存しているものも少なくない。日本企業の、中国に対する直接投資は累計20兆円に達しているとの推計値がある。そして、現地法人等における留保利益だけでも7.5兆円程度になるという。つまり、合計27.5兆円が、中国に対する日本企業の投資残高ということになる。
 中国から撤退するとなると、この投資額をどうやって回収するのかという問題がある。結論的には、全額回収は到底無理であろう。大部分は接収されてしまうか、現地において、捨て値で譲渡してくることを余儀なくされるであろう。最悪の場合、全損になることもあり得る。日本への送金が不可能となれば、回収の手段は、事実上絶たれることになってしまう。
 現時点でも、現地で資産を処分して、日本に送金するというのは、困難を極めるだろうと推定されるが、一部でも回収できればマシではあるので、処分を急ぐべきであろう。かなりの抵抗があろうかと思うが、無理をしてでも動くべき時が来ていると考えられる。
 判断が遅れれば遅れるほど、損害は拡大する可能性が高まる。今後の中国ビジネスは、縮小、撤退の方向しかないと考えておいた方が良い。
 まだ、撤退シナリオを描き切れていない企業には、手遅れの可能性もあるが、それでも急いで全面撤退準備を進めて、実行に移すことを勧めたい。


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