ウラ

あとがき

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最近の記事

世界一大好きな女友達が結婚しました。

世界一大好きな女友達が結婚した。 彼女と初めて交わした言葉を覚えている。大学のあの美しい講堂で突然話しかけられた。大学一年生の四月だった。 彼女と初めて一緒に受けた月曜一限の授業を覚えている。頭が良くて気が強くていつも先生と口論になりかけて周りはヒヤヒヤしていた。私はいつも左斜め後ろを振り向いてそれを見ていた。 彼女が初めて私を笑ってくれた日のことを覚えている。彼女が私の消しゴムを勝手に使ったのに、取りにくい所に置いててごめん!と私が咄嗟に謝ったことがおかしかったと笑っ

    • 『夜にあやまってくれ』

      床に散乱する紙類を整理してると、ある冊子が目に止まった。それは何年か前に葉ね文庫に置いてあったからなんとなく持って帰った(と思う)フリーペーパーのようなもの。パラパラと読んでるとひとつの短歌に目が止まった。 目覚めたら喉が渇いていてだれも魚の頃の話をしない "まどろみ"というテーマで寄せられた鈴木晴香さんの短歌。この感性そして世界の見方にハッとした。化粧も落とさずコンタクトも外さずソファで寝てしまって、夜中に目が覚めて、喉渇いた…と、まどろみのあの時間。それが私たちがずっ

      • 食欲減退グルメ漫画『鬱ごはん』

        串カツの二度付け禁止のソースを見て、他人の唾液を想像したことのある人にわたしはこの漫画をオススメしたい。 作者は『バーナード嬢曰く。』や『銀河の死なない子供たちへ』等の施川ユウキ先生だ。こちらもかなり面白くてオススメだが、今回は『鬱ごはん』について書こうと思う。 『鬱ごはん』はわざわざ言わないけど絶対みんな思ってるよね?ということを淡々とそして不味そうに描いている。不味そうなグルメ漫画ってありますか?ほんとにめちゃくちゃ食欲が減退します。(でもめっちゃ面白い。) 主人公

        • 父親というフィクション

          私は父のいない家庭で育った。父性が一体どんな種類の愛なのか想像もつかない。だからこそ私は性愛の伴わない男性の愛情に異常なほど興味と執着がある。(息子から母親への愛情とか。) 私にとって"父親"はフィクションだ。 澁澤龍彦は"娘" をフィクションに留めておくことで、甘美で背徳的なユートピアにした。ただ、澁澤は娘を持たないという選択肢を選べたが、幼い私に選択の余地はなく気づいたらそれを持っていなかった。だけど成長した私は"父親"という虚構を楽しむことができる。フィクションとし

          水色のスカジャン

          小学生のとき好きだった男の子がよく夢に出てくる。 背が低くて陶器みたいな白い肌に金髪の長い髪がサラサラと揺れる女の子みたいにかわいい男の子。小学五年生。 いつだったか、お母さんに塗られたって見せてくれた黒いネイルがあどけない笑顔と裏腹にいたく妖艶だった。 彼はいつも水色のスカジャンを着ていた。 クラスの中でもヤンチャで悪ガキという言葉が似合う男子小学生だった。クラスの女の子はその可愛さに群がりお人形扱いで寵愛を受け、男の子にも甘えておんぶをさせては自分で歩こうとしない

          水色のスカジャン