誹謗中傷の対応をする中でよく頂くお問合せについて


よく頂くお問合せのQ&Aです

1 被害者側のお問合せ

どこから開示が通るか、というラインはありますか

誰が見ても明らか、という暴言や晒し等で、複数回にわたり執拗になされた投稿である場合は「これは違法だよ」と言えることがあります。
ただ、曖昧な言い方であったり名指ししなかったりする場合は、前後の文脈を踏まえて解釈をします。
ケースバイケースが多いです。

費用はどれくらいかかりますか(元が取れますか)

結論的に言えば、元が取れることをお約束することはできません。
開示措置は、Twitterを例にすれば、Twitter社に対して1つ目の裁判、その先の接続先のプロバイダ(ソフトバンクやドコモ等)に対して2つ目の裁判、住所や氏名が判明した上で加害者本人に対する請求や3つ目の裁判、という流れがあります。
裁判の回数は3回程度に及びますし、その対応は、後述のログ保存期限の関係でかなり急がなければなりません。
そうした状況から、着手金(最初に払うお金)でも20~30万円程度はかかることはご承知頂きたいです。他方、支払が認められる慰謝料の金額も同程度のことがあり、黒字になるというのはお伝えが難しいところです。

ただ、費用をためらって加害者の良いようにさせていいんでしょうか、ということは強くお伝えしたいです。白黒はっきりさせる、投稿を削除させるというような目標を共有できることが、依頼を頂く際に大事なことだと思います。
また、相手に謝罪をさせたい気持ちもあるでしょう。実際に加害者に謝罪文を投稿させることはありますが、心の底からの謝罪、というのは期待しても無理だろう、ということは多いです。
いずれにせよ、大切なあなたの人生です。我慢すべきではないと思います。一緒に頑張りましょう。

被害を受けてからいつまでにお願いをしないといけないですか

投稿があってから1週間以内、遅くとも2週間~3週間以内にはどうされるかを決断しなければなりません。

通信業者のログの保存期限は3ヶ月程度~半年とされています。申立てをしてから裁判が始まるまで1ヶ月、開示命令が出てからその投稿者の住所や氏名を把握している通信業者をたどるまで1ヶ月かかることがままあります。逆算すると、投稿があってから申立てをするまで1ヶ月程度の猶予しか有りません。
申立書を作成するにも1週間以上はかかりますから、結局、ほとんど日数の余裕はないことになります。

自分の名前や住所は相手方に分かってしまいますか

開示命令を進めて投稿者の身元が判明するまでであれば、匿名で手続を進めることはあり得ます。
が、最終的に加害者に対して直接訴訟を提起する際にはこちらの住所や氏名を明かさなければ手続を進めることはできません。
ですので、最終的には相手方にこちらの身元が分かることを覚悟頂く必要があると思います。

※匿名の手続は、それ自体時間を要します。結果的にログの保存期限が切れてしまうリスクを考えると、弁護士の立場からはおすすめできません。
また、加害者があなたの身元を晒したりすれば、それ自体が別の不法行為になります。慰謝料も別で発生しますから、そこの点を強く懸念される必要はないと思います。

裁判所に行く必要はありますか

開示手続までであれば、陳述書で対応できます。が、最後の加害者に対する訴訟の段階では、ドラマで見るような尋問手続が必要となることがあります。

最後に。こちらも参考にしてください。


2 加害者側からのお問合せ


事案によりますが、基本的にはこういうスタンスです。

削除するから許してくれませんか

削除しても、過去に違法な投稿をして被害者が傷ついた事実は消えませんよね。

謝罪するので許してくれませんか

謝罪しても、過去に違法な投稿をして被害者が傷ついた事実は消えませんよね。

ネットの暴言ごときで裁判するなんてやり過ぎじゃないですか/脅迫だ

裁判を受ける権利は誰にでも保障されています。

誹謗中傷に対して本気になるなんてネット向いてないよ

最近はネットの誹謗中傷が社会問題化されており、開示手続も容易になりました。完全に匿名で他人を傷つけることは不可能です。
そうした時代の流れを分からず、誹謗中傷を繰り返すなんて、ネット向いてないと思いますよ。

自分も被害者なんですけど

ご主張がある場合はそちらにも裁判を受ける権利は保障されていますので、訴えるということであればご自由になさってください。
ただしこちらは徹底的に争います。

どうしたら許してくれるんですか

しかるべき示談の合意をする必要がありますが、その前提としてあなたの氏名や住所、未成年の場合は法定代理人(親御さん)を介して合意をしなければ示談をすることはできません。

(未成年に関しては、親御さんを介さずに示談して、後から「脅されて示談された」とか言われるのはこちらも嫌なので)

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