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推理対戦~High Jumpの読書記録~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!
今回読了したのはこちら!!

似鳥鶏先生の「推理対戦」です!

言わずと知れた
「ほんタメ文学賞2021年下半期たくみ部門」受賞作です!

ミステリー小説好きなたくみさんが選んだ一冊と言うことで、同じくミステリー小説が好きな自分としては、とても期待してほんタメの聖地「八重洲ブックセンター」で購入してきました(笑)

全員最強
世界中が欲する「聖遺物」が日本に。
アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル――。
各国の聖なる権威によって、「特殊能力」をもつ
異能の「名探偵」たちが、
神の名のもとに、選抜された。
無限の情報量。
無限の思考時間。
超高速の演算能力。
100%嘘を見抜く。
無制限の現場検証能力。
完全無欠の情報収集能力――
前代未聞、前人未到の「推理ゲーム」開戦!
最も優れている「名探偵」は、誰だ?
(帯より抜粋)

簡単に言ってしまえば、世界中から集まった天才たちが、誰が一番優秀かを競う推理ゲームを行う話です。天才が出てくる話はわくわくして、特に好きなので、ましてやその天才が何人も出てきて戦うといった構図にとても興奮しながら読み進めることができました。

「こんなにコスパの悪い書き方は二度としません」
と著者である似鳥先生がインタビューの中でおっしゃっていて、それは読者にとって「最高にコスパの良い作品」なのではないかと感じました。その言葉通り、出てくる探偵の一人一人のキャラがとても濃く、その一人一人を主人公に独立した作品が、書けるのではないかと思わせるほどです。

ただただ、はい、天才が集まりましたよ、推理ゲームスタート!となってもほんとに天才なのか、どんな能力を持っているんだ?となってしまいますが、まず前半の4編でそれぞれの天才の出身地を舞台に、どのような能力を持っていて、どのように事件を解決して、どうゆう経緯で聖遺物争奪戦に参加するのかというのが描かれ、その後一同に集まり推理ゲームスタート!という構成になっていて、天才が登場するたびに「こんなの最強じゃん!どうやってこいつに勝つんだ?」となる人が次々出てきて、対戦が始まる前にはもう、興奮がおさまらない状態になっています(笑)

個人的には、ウクライナの天才ボグダンの能力「吹雪」の表現方法に驚かされつつも、読者にその能力の思考を体験させてくれるところが好きでした。推しメンは、高崎満里愛です。あの関西弁と、誰とでも気さくに話す感じ、あとは動物的能力ってやっぱり憧れます。

印象に残った部分を紹介します。
推理ゲームが始まった翌日、ゲームマスターに当たる人が遺体で発見されます。各々の天才たちは、国や組織の雇われとして派遣しているので、雇用主に指示を仰ぐと、それぞれの雇用主は口をそろえて「それもゲームの一部なのかもしれないから警察には連絡するな」と言います。これが後の解決を誤らせる原因になるのですが、それが発覚した時点での文章がこちら。

名探偵たちは見落としていない。依頼主が見落とした。簡単なことだった。現場がいかに優秀でも、指示を出す「上」が間抜けなら失敗する。

『現場がいかに優秀でも、指示を出す「上」が間抜けなら失敗する。』
いわゆる「上」が無能なせいで、損してることって意外に多いんじゃないかなと、まだまだ24年しか生きていない僕ですが、思うことが多いです。特に感じるのはアルバイトかな。「上」の人間は現場を知らないから、飲食などでも、新メニューをばんばん出してきたりするんですが、こちらとしては、「そんな新メニューつくったらコンロが埋まるから料理の提供が滞るのに」とか「焼き肉屋にきてわざわざアヒージョ頼む人なんていないと思うけどな」とか現場にしか分からないことも多いのが事実ですが、「上」が間抜けなばっかりに、損をしてしまうんですよね。自分は理系の大学院生であり、もうまもなく内定がいただけるんですが、院卒ということから、「上」の人間になる可能性が高い気がします。また建設業界は特に現場を大切にしないといけない業界です。様々な指示を出すときに、現場の気持ちを考えて行うことが大切なんじゃないかなと社会人になる前に知れたことはプラスですね(笑)

今回の作品は、最後にあとがきという形で、似鳥先生のエッセイ的な文章が載っていたんですが、それも面白く、最後まで楽しめました。
イカとタコのスミって用途が全然違うなんて知らなかった(笑)

映画化しても面白そうなので期待しています。
最高にコスパの良い作品になってますので、ミステリー好きの方は是非!
ではまた次回、バイバーイ

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