【鹿島アントラーズの採用戦略】#8

鹿島アントラーズといえば、2019年に親会社が日本製鉄からメルカリに変わり子会社化されています。
当時メルカリの社長だった小泉氏が、鹿島アントラーズの社長に就任し、親会社の社長が、子会社の社長になることは極めて異例で話題となりました。

求人媒体をみていたら、鹿島アントラーズの募集求人の年収の高さに驚きました。前回の投稿でもメルカリの採用について触れましたが、今回はメルカリの子会社となった鹿島アントラーズの採用戦略が面白かったので投稿します。

・募集要項

https://www.bizreach.jp/job/view/3053734/?ref=jobfeature
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ここでいえるのは、年収が民間企業と比較しても同等あるいはそれ以上ということももちろんですが、必須要件に「サッカー業界での経験」は一切含まれていないということです。
営業戦略のポジションを例に出していますが、他の職種も同様です。

・採用戦略

・給料を上げた
↳現在のスポーツ業界は、”やりがい搾取”で給料が低いのが課題
↳お金を渋ってドリームジョブとしている風潮がある。

ビジネスをやるには一流のビジネスマンが必要
↳採用にあたって年収を上げないと良い人材は採れない
↳条件を上げることによって応募の質があがる

異業界から人材を獲得する
↳スポーツ業界は縁故採用が多いのが課題
↳必須要件にサッカー経験は一切いれていない

・セールスが非常に重要
↳相手のビジネスを理解して分析をする。相手のメリットになるようサッカーチームが何をできるかという観点で提案。高度なので業界よりもPDCAを回せる優秀な人材を求めている。
↳コンサルや大手代理店、ネット系企業から入社している
↳フットボールチームの売り上げの40%〜50はセールス。チケットやグッズよりも大きい
↳パートナーセールスにおいて高度なソリューションを提供し、収入を得られるかどうか

・新スタジアムを2020年後半~30年前半に完成を目指す
↳ファンのエクスペリエンスをどう最大化させるか。パートナーの技術をどういれるか、エンタメの見方をどうするかなど様々な実験が必要
↳やるべきことがたくさんあるので、上記をできるような職種・人材を採用していく

https://youtu.be/Sw9nuU-RzO0?si=IUNsM1Lx8Gqx6Oi2

・スポーツクラブビジネスの難しい点

時間軸が違う

・PDCAを回すことは同じだが時間軸が違う
↳試合数や試合毎など民間とは表現のタイミングが違う
↳ネット起業だったら今変えようと思ったら明日には変わってる

・人材のクオリティを上げないと理想のビジネスができない
↳スポーツクラブの場合、とりあえずやってみるという動きではなくしっかり真剣に考えて行動する必要性がある
↳後戻りするのにとても時間がかかる
↳その為に優秀な人材の採用を強化している

https://youtu.be/Sw9nuU-RzO0?si=IUNsM1Lx8Gqx6Oi2

ガバナンス体制

・メルカリに経営権が変わり、会社のストラクチャーから着手
・6階層あったのを3階層に変えた。スピードを意識し役職も減らした
・役職が多いから年功序列の評価ができる。役職に関わらず評価すればいい

https://youtu.be/Sw9nuU-RzO0?si=IUNsM1Lx8Gqx6Oi2

ネットカルチャーとの融合について

メルカリから出向している人もおり、DX化していると言われるがそうではない。

・DX化する前にCXが大事
会社をどう変えたいかによってはじめてDXの話になる
↳会社のビジョンが前提にあってDXはあくまでも手段
↳DXから進めるのはナンセンス(とりあえずSlackを導入するなど)
↳情報の透明性、正しく意思決定され早く実行できるかが大事

・野球型ではなくサッカー型の会社を目指す
↳これまでは野球型の会社だった
監督や上が指示を出して下はそれをやるだけ

↳目指したいのは、サッカー型
戦術や大きなビックピクチャーはトップが提示するが、実行する選手はどこにボールがあるのか、他の選手がどういう動きをしとるのかを考え選択しゴールを目指す(いわゆる情報を自分でキャッチし行動できるかどうか)

https://youtu.be/Sw9nuU-RzO0?si=IUNsM1Lx8Gqx6Oi2

若年層の顧客獲得に向けて

・スタジアムの雰囲気作り
↳招待策や国立でのマッチなど
↳またスタジアムに来たいと思ってもらえるような仕掛け
↳スタジアム外のフードやイベントまで考えてコンテンツを増やす
↳子供やファミリーが半日楽しめる場所
↳来年から小学生無料にしようと考えている
中学生や高校生の案もあるが、小学生で様子をみて良さそうだっら対象にする
↳若い内にアントラーズのファンになってもらう

・顧客獲得は動画やメディアが主流
↳バスケは切り抜き方が短尺で認知されやすく、今のメディアに最適化された設定が取りやすい
↳バスケもサッカーもTVでいきなり2時間見てもらうのは厳しい
↳きっかけはメディアで、そこからスタジアムに足を運んでもらう
↳アントラーズも動画コンテンツを増やしており、日テレから人材を獲得
※動画のクオリティが上がったので異業界から積極的に取るべき!
↳現在TikTokやインスタを運用しているのは、日テレからの転職者と新卒1年目の女の子

人材の流動性が重要
↳野球業界経験者も入社している
↳スポーツ業界の垣根を越えるのも大事
↳経験を積んだ人が起業や成功を収めれば、アントラーズやサッカー界、スポーツ業界の評価が高まる
↳転職においてスポーツ業界の選択肢をもっと増やしていく

https://youtu.be/Sw9nuU-RzO0?si=IUNsM1Lx8Gqx6Oi2


優秀な人材を獲得するには”良い条件を提示”する必要があるという重要性がわかります。採用ターゲットにおいても、PDCAを回すことができれば異業種でも活躍できる、むしろ異なる視点や経験値を入れることによって、よりビジネスの拡大に繋がります。
前回投稿した、メルカリが海外エンジニアを採用している理由とも同様です。
小泉氏が社長に就任し、”民間の血”が入ったことにより、これまでのスポーツ業界にはなかった変革が起きています。
今後のJリーグや他スポーツにも注目していきたいと思いました。

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