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プロが教える!一発OKを勝ち取る社内プレゼンの極意

「NIKKEISHA STARTUP TABLE」では、「挑戦」と「変化」を目指す企業の「1→100」のために、成長期に直面するさまざまな悩みや課題に応えるべく、“社会との対話“の機会を提供しています。
 
ビジネスの現場で最もよく使われるコミュニケーション手段、「プレゼンテーション」。社内承認や決裁者の理解を得る場面においても、重要な役割を果たします。しかし、「考えていることがうまく伝わらない」、「最後まで話せずに却下される」など、苦手意識を持つ方も多いのではないでしょうか。
 
社内決裁者から一発OKを勝ち取れるように、どのようなことが大事なのか。一般社団法人プレゼンテーション協会の代表理事である前田鎌利氏に過去お話しいただいた講座から、ポイントを少しだけご紹介します。

■急増するオンライン・プレゼンテーションの勘所

企業や部署、担当者によってプレゼンテーションのスタイルは大きく異なる。共通しているのは「限られた時間で伝えること」「伝えた内容を意思決定してもらうこと」。
 
2020年からは、オンラインでのプレゼンも急増している。しかし、オンラインプレゼンは伝わりづらいものであると前田氏。解決のヒントは「メラビアンの法則」。視覚・聴覚が担う93%の部分で、いかに表情や声を相手に届けられるかが大事であると前田氏は語る。
 
また、オンラインプレゼンにおける大事なテクニックも3点紹介した。

1.プレゼン時間のデザイン

プレゼンの時間は大きく2つに分かれる。本編の説明パートと質疑応答のパート。本編は短く約3分程度に収め、その後にディスカッションや質疑応答の時間を多めにとって、そこで補足資料やデータを多めに見せていくようにすると、最後に意思決定しやすいと前田氏は語る。「今までも“なるべく本編は短く”と伝えてきましたが、オンラインプレゼンの場合はその重要性が上がります。長時間一方的に話されると聞き手の集中力が途切れるのです」。

プレゼンのゴールは意思決定をもらうこと。意思決定する側は、自分の疑問や不安を払拭したい。プレゼン時間が長くても、聞きたいことが無かったら意味はない。そのため、このスタイルの方がより短い時間で相手にストレスなく決裁をとることが可能となるのだ。

2.質疑はチャットをフル活用

オンラインだからこそ、チャット機能をフル活用できる。「何か質問ありますか?」と質問を待つ時間はもったいないため、話している途中にもどんどん質問を入れていただき、プレゼン後すぐに答えていく方が、より効率的に短時間で意思決定へと導くことが出来る。

ポイントは、1チャット1メッセージ。1つのチャットに例えば10問も質問が含まれていると、その人の質問だけで終わってしまうことも。1チャット1メッセージのルールで運用すれば、被っている質問を省いたり、さまざまな質問からチョイスしたりすることが出来るためおススメだと前田氏は語る。

3.画面切り替えアニメーションは不要

社内プレゼンでは、画面切り替えのアニメーションは不要。特に、オンラインでは回線に負荷がかかって表示が遅延してしまう。0.2秒の遅延でも感覚的に「遅いな」と捉えられるため、アニメーションは避ける方が望ましい。

■「提案プレゼン」に向けた準備の始め方

社内プレゼンの場合、本編のスライド(表紙・サマリー・ブリッジスライドを除く)は5~9枚程度が望ましい。この数は、ジョージ・ミラーが提唱した短期記憶に関する7±2の法則を参考にしている。この程度の枚数であれば、ざっと話しても大体何が書いてあったかを覚えていられるためだ。
 
補足資料は少し厚めに用意し、質疑応答で適宜必要なページを見せていく。補足資料をすべて本編に入れておくと時間が非常にかかるが、聞かれたら提示するように準備しておくことで、スムーズに決裁がとれるようになる。
 
説得させるには、たくさんのデータを並べた方が説得力は増すのでは、という考えもある。確かに、エビデンスがあると説得力は増すが、詰め込み過ぎると理解するのに時間がかかってしまう。意思決定する上で必要なものは本編に、補足で平気なものはアペンディクスへ移すようにし、本編に入れるデータは取捨選択することが重要だ。
 
提案内容も、一本槍の提案では決裁者もなかなか決めづらいもの。他案は無いのか、と意見が発散し持ち帰りとなる場合がある。予め複数案を容易して選択肢を示すと、決裁者も意思決定するマインドへと導くことが可能だ。
 
プレゼンの構成は、「課題解決型」のストーリーを活用する。スライドを作る前に、まずは以下のようなブレストシートを参考に一度書き出してみることが重要。書き出したものを基に、ストーリーを作っていく。白いスライドをたくさん並べて、何を書くかといったセンテンスを書き込んでいく。そこからスライドを起こしていく。そうすると、スライドも短時間で作成できる。長くて10分で次のスライド。5~9枚なら50~90分程度。1枚のスライドにかける時間を決めて作業していく。

資料作成が終われば、他の関係セクションとの事前のネゴシエーションに時間を割いてほしい。そうすることで、会議でハレ―ションが起きず、通りやすい企画資料となる。

■他の種類の社内プレゼンで大事なこと

社内プレゼンには、3つの種類が存在する。1つ目が、前章でお話しした「提案プレゼン」。

その他、報告をしてフィードバックをもらう「報告プレゼン」がある。但し、報告だけでは“で、どうするの?”となりかねない。そこで、報告プレゼンでは必ずネクストステップの要素を盛り込む。報告して終わりではなく、ネクストステップの確認をして承認をもらうことが大事である。

もう1つが、こうした仕事に協力してほしいと伝える「依頼プレゼン」。何かしら事柄が決まった際には、必ず関係セクションに協力を仰ぐ必要がある。この際、伝えて終わりではなく“いつまでに・誰が・何を”のコミットメントまで持っていくことが大事。最後、しっかりとクロージングしてほしい。

■「社会プレゼン」は念いを伝えるためのツール

プレゼンは、念いを伝えるための、あくまでもツール。念いとは、自分の中で大切にしている強い気持ちである。「これ、絶対にうちの会社でやりたい!」「絶対、私が学校で伝えたい!」という気持ち。テクニックを使って分かりやすい資料になったとしても、中身がスカスカであれば通らない。意味もないのに綺麗に作ってあるだけでは、通らないのだ。だからこそ、しっかりと考えることが重要。その上で、たくさん場数を踏んでいく。

たくさんの場数を踏む中で、必ず企業理念をハラオチさせて伝えてきた。会社は、必ずこの理念があって、それを実現させるために社員を雇用している。生涯賃金が約3億円だとすれば、1人雇用するときに、会社のトップはこの人に3億円を払うのだという意思決定をしていることになる。だからこそ、この企業理念を実現させる、私も実現したい、という人に入ってもらっているはずだ。

プレゼンする時も、是非これをハラオチさせて「私にやらせてください」という強い気持ちを込めてほしい。ぜひ思いを伝えてほしい。


本講演は、前田さんの「社内プレゼン」に関する書籍から、お話いただきました。資料作成のT際の文字フォントや画面レイアウトに関するTipsも紹介されていますので、是非こちらの本も手に取ってみていただければと思います。

書籍はこちら▼
www.amazon.co.jp/dp/447811515X


◇会場からのQ&A

セミナーでは、参加者から熱意ある質問がたくさん寄せられました。その中から、いくつかご紹介します。


「質問はチャットで」を聞き手(主に立場が上の方)に協力してもらうため、良い促し方はありますでしょうか?

会議を始める前に、「質疑は全てチャットでお願いします」とルール化するのが一番ですね。そうしないと、生産性を上げるための方法でもハレーションが無駄に起きてしまいます。
また、関連する話として、リモート会議でカメラをオンにしない方が多いのですが、オフにしている方の内の約8割は、他の作業をしているらしいですね。「カメラを最初の2分間だけオンにしてください」と言うと、大体2分間だけはオンにしてくれますし、その後もオンにしたまま続けてくれる方も多いです。
そうしたことを、最初にお伝えするだけでも違うかなと思いますね。

Q
オンラインプレゼンで決裁者の視線を支配するために、アニメーションの代わりにポインターを使うのはNGですか?
A
ポインターはぐるぐる回す人多いです。それでは目がチカチカするので、私はおすすめしていません。
なお、私はハンドサイズのホワイトボードを使って、相手とディスカッションしながらプレゼン資料を作る“コンサルティングプレゼン”というのもよく行いますが、それも結構おすすめです。相手との理解を深めていくために、そうしたツールも使ってほしいです。

Q
熱量を伝えていく話術として、特に注意する気をつける点は何でしょうか?A
私は、すごく間を意識して話をしています。間が空くと相手側が考えてくれるんです。
もう1つは、「ええと」「あの」とかのフィラーを無くすと、聞きやすくなり信頼度も増します。フィラーは無意識的に出てしまうので、一度録画して自分のプレゼンを見て、フィラーが出てしまうところは意識的に喋らないようにする。喋らない沈黙の間は、本人は怖いですが、相手は頭の中を整理する時間に使えるのでありがたいです。自分でも、話したことをリフレインする時間になったりします。

Q
相手によってプレゼンを変えるとのことですが、最終的に部長に見せる際に、その前に課長にチェックされる場合、別々の資料を作成する必要があるのでしょうか?
A
私はいつも、2つ上の役職の方を意識して資料を作ります。そして、そこから見た課長向けの資料を作ります。課長にチェックされる際に当然いろいろ言われますが、「部長は、ここに突っ込みを入れます。ここは絶対に必要です。これを入れましょう」という返答をします。これが出来る人と出来ない人とでは、手戻りの率が大きく異なります。
そのためには、2つ上の役職の方が出ている会議資料を、事前に自分の中にインストールする情報収集が大事です。課長と部長とでコミュニケーションが不十分な場合も往々にしてあります。逆に、提案が通れば1つ上の上司(課長)の手柄にもなりますから、ぜひ2つ上の役職を意識してプレゼンしてもらいたいですね。

Q
ネゴシエーションに要する時間はどの程度、対象者はどの範囲までが目安でしょうか?
A
案件・会社・企業文化によって違いますが、ステークホルダーとなる部署それぞれに事前説明ができるといいですね。要する時間も案件によりますが、人間関係によっては一言「今度これ出すからよろしく」で終わることもあります。でも、そうでなければ、しっかりとお伝えするところからスタートですから、日常のコミュニケーションも大事ですね。


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