社会課題ってなんだろう?その2 ~ソーシャルバリューデザイングループ~
この記事は以下の方に特におすすめです!
・官公庁や自治体の職員の方々
・社会課題の解決に取り組んでいる方々
社会課題の構造について
こんにちは。ソーシャルバリューデザイングループです。
前回(その1)は、社会課題解決を目指したいんだよね!という話でした。本日(その2)はもう少し、社会課題の構造や性質について考えてみたいと思います。
地球規模の社会課題の代表?と言える、「SDGsの17のゴール」はご存じの方も多いと思いますが、ストックホルム大学が「SDGsの17のゴール」をウェディングケーキに見立て、構造化した研究をご存じでしょうか。
引用:ストックホルムレジリエンスセンター
17の課題を、「Biosphere(生物圏)」をベース(一層目)として、「Society(社会)」をその上(二層目)に、さらに、「Economy(経済)」
をその上(三層目)に積み上げた概念です。
二層目の、社会がなければ、三層目の経済は存在(成功)しえないし、一層目の生物圏の安定がなければ、二層目の社会は存在(繁栄)しえないという考えですね。
SDGsはその言葉通り、Development(開発)のGoal(目標)であることから開発=経済(Economy)の発展が上位目的に据えられています。
Goalを何にすべきかについては、もう少しフラットに考えると、自由なんだろうなと思っています。目指すべき目標が何か。主体によっても変わってきます。
社会にも、国際社会、日本社会、地域社会などの複数のレイヤーがあります。それぞれのレイヤーにおける課題と、その課題解決が目指すゴールに対して、目指すべきゴールは、何で、いつ、どこで、だれが、だれにとってのゴールを、どのように決めるのか。
課題の構造を考えていくとその辺りの疑問が湧いてきます。
経済産業政策の新機軸と社会課題
「経済産業政策の新機軸」をご存じでしょうか。
https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240607003/20240607003.html
日本の経済産業政策の新しい方針で「多様化する中長期の社会・経済課題の解決」を、「ミッション志向」で実践していくことを目指す政策です。
特定産業の保護・育成を中心とする「伝統的な産業政策」、アベノミクス時代に進められた「構造改革アプローチ」に代わる新しい基軸として打ち出された本政策は、GX、DX、経済安全保障、健康寿命の延伸、自然災害へのレジリエンス社会、資源自律(資源制約からの解放)、少子高齢化の反転といったテーマを、日本国内の主要課題に挙げています。
日本という「国レイヤー」が識別している課題の代表例だと思い、ご紹介しました。
上の、経済産業省のサイトに加えて、考え方についての詳しい内容は、以下も参考になります。
誰一人取り残さない社会の誰一人ってどこまで?
SDGsは、「誰一人取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」であることを、基本理念としています。
世界の人全員、というところが、素晴らしい取組ですね。
一方で、日本の社会課題を考えるときは、対象となる人の範囲は、少し変わっていますよね。
日本で、「誰一人取り残さない」というと、「日本人」「日本に住んでいる人」「日本に関係のある人」あたりを前提とすることが一般的ではないでしょうか。
それが他の国であれば、他の国に置き換わる。
それぞれの国がそれぞれの課題を解決して、自国にとっての目標を目指す動きがあり。同時に、世界には(あるいは、国際社会には)、世界全体の課題と目標(ゴール)がある。
国内にさらに目を向けると、国を構成する、地域社会や、地方行政という言葉(仕組み)があって、地域に住む人にとっての課題があって、地域それぞれの目標やゴールが存在している。
全部のレイヤーの課題やゴールは、たぶん等しく同じであるとは限らない。むしろ違っていて当たり前です。
社会課題(問題)の識別条件は?
最後に、"社会問題"(課題とほぼ同義)になる条件が存在する、という考え方をご紹介します。
問題は、存在すれば即、問題になるのではなく、その状態(例えば好ましくない状態など)が多くの人に認識され共有されることで初めて、社会が取り上げる問題となる、という考えです。
様々な社会問題・課題を、日々、いろいろな場面で目にすると思います。
その問題に、構造はあるのか。
あるとすれば、背後にある真の問題、より根本的な問題は何か。
その問題は、どのレイヤーの、誰にとっての問題なのか。
その問題は、どの程度多くの人に認識され、共有されているのか。
そのあたりを常に自問自答しながら、問題を解決するためのソリューションを検討できたらなと思います。