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永松茂久(2021).『喜ばれる人になりなさい母が残してくれたたった1つのこと』すばる舎.

「編集者が5回泣いた。」というキャッチコピーに惹かれて購入。
 結論から言うと私は泣きませんでした。だからといって悪い本ではなく,経営学的にみても納得できる部分がある本である。

 まず,この本の肝はタイトルにもある通り,「喜ばれる人になる」ということを主眼に置くということ。「利己」に対する「利他」といってもよいかもしれない。ただ,内容的には同じことがトピックスを多少変えながらも冗長的に書かれているので,早く読める分,間延び感がある。
(細かい移動時間を利用してモジュール(=ショート・エッセイ)を書いて関連性のある内容を固めて構成している印象)
 幸いなことに,私は,大学教員という人に影響を与える可能性のある仕事に就いている。その立場を活かして対象者に「迎合」という意味ではなく,自分が信じる「人に喜ばれること」をして学生や企業,あるいは行政に喜ばれることをすることが肝要なのだと読後に考えた。

 もちろん今までも学生のためになること(=即物的な知識だけでなく,社会に出て通用する具体―抽象概念を行き来する力)をしてきたつもりだが,もう少し大きく構えてもよいのかもしれない。

 もう1つは,p.285「応援する人が応援される時代の幕開け」というところ。クラウドファンディングにせよ,サイトは忘れたけど,お金を集めるサイトで,目標金額を達成できるケースは,(個人的な主観だが)往々にして人を応援する(もしくは世の中をより良くする)想いの詰まった内容であると思う。
 さらに,そうした個人の想いが可視化されやすく,かつ小額から応援できる仕掛けが整っている時代になったという点で「応援する人が応援される時代の幕開け」というのは納得。


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