お金ないからカレー
今は10代の娘が幼かった頃。
スーパーで買い物をしていて、私と同じように赤ちゃんを抱っこしたお母さんとすれ違った。
その人は、5歳くらいの女の子の手を引いていた。
女の子が「今日のご飯は?」と尋ねた。
お母さんは、「お金ないからカレー」
抑揚のない声で答えていた。
なぜこのことが記憶に残っているのだろう。
カレーって安上がりなの?と、率直な疑問を覚えたからかもしれない。
それより、「お金ない」の部分に反応したのかもしれない。
それに、そのお母さんの、どことなく脱力した感じ。
「うちにはお金がない」と聞くと、子供の性格によっては、とても不安になると思う。たぶん、瞬間的に、私は女の子に感情移入していた。「そんなこと言わないで」と思った。
私自身は子供の頃、お金があるとかないとか、ピンとこない方だった。
ただ、「お金ないからカレー」という声が聞こえた時、私も小さい子供を抱えて、しかもお金がなかったから、その言葉が耳に入った。
今でも頭の片隅に、スーパーの棚と棚の間の光景が釘付けになっている。
今日、ふと思い出したのでここに書いた。
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