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2024.5. 見たもの読んだもの

【本】
・SNSの哲学
戸谷洋志
「SNS上の自分は、実際の自分とイコールではない」という一節が印象に残った。そういう心構えなら楽しめるのかも。
ハイデガーの引用も興味深い。「同じ日常が繰り返すとみんな思っているけれど、本当は、人間はいつも別の生き方の可能性に開かれている」という内容。
そういえば、ちょっとだけ似たことを、数年前に私も考えた。「今日と同じ明日が来るって、みんな思ってるけど、そうとは限らない。生きてるって本当はもっとダイナミックで、未知の可能性に満ちているんじゃないか」と。
私としては、その可能性を実感しながら生きていきたい。変化はあるほうが楽しい。数年後の自分がどこで何をしているかわからないほうが、生きていたくなる。

・アベルの島
ウィリアム・スタイグ

・誰にもわかるハイデガー
筒井康隆

・猫を処方いたします。
石田祥

・ロレンス ショートセレクション 二番がいちばん
代田亜香子訳
「木馬のお告げ」という短編が特に印象的。
見栄を気にする母のために金を稼ごうとして、競馬で勝つことに全身全霊を注ぎ込み、とうとう死んでしまった幼いポール。亡骸を前に叔父が言うには、「この世にいても、木馬に乗って勝ち馬を探すしかなかったんだから」。木馬に乗っているのは、ポールだけではないかもしれない。

・ふくろうくん
アーノルド・ローベル

・エーメ ショートセレクション 壁抜け男

・100分 de 名著 ハイデガー 存在と時間
戸谷洋志

・たまたまザイール、またコンゴ
田中真知
1991年のザイール、2012年のコンゴ。
同じ場所を異なる時代に旅した記録で、比較が興味深い。
そして、印象に残る考察も多い。
「先進諸国で共有されている、未来はコントロールできるという幻想には、目的をもって生きるという側面もあるが、コントロールできなければならないという強迫観念も含んでいる。世界の大半は偶然と突然でてきているのに、それを排除してしまうと、アフリカ大陸にあふれている豊かさや生命力は見えなくなってしまう。」
著者のユーモアセンスも効いていて、今月読んだ中で1番おもしろかった。
いつか、アフリカを訪ねてみたい。

・源氏物語五十四帖
吉岡更紗
京都の染め物屋6代目の著者が、源氏物語に登場する衣装を、当時の技法を想像しながら染めたもの。
ページをめくるごとに、美しい色彩に出会う。個々の生地の色はもちろん、襲(かさね)の色合いがハッとするほどきれい。

・ガリバー旅行記
スウィフト
中野好夫 訳

・雪だるまの雪子ちゃん
江國香織
山本容子 銅版画

【映画】
・ゴジラ−1.0
山崎貴 監督

・バルカン超特急(1938)
アルフレッド・ヒッチコック 監督
クリケットのことしか頭にないイギリス人2人がおもしろい。

・鳥(1963)
アルフレッド・ヒッチコック 監督
調教された鳥と、機械じかけの鳥が使われているらしい。撮影の様子が残ってたら見てみたいな。

・バービー(2023)
グレタ・ガーウィグ 監督
死について考え始めてしまったバービー。
最近、ハイデガーについて読んでいるから、ここでも「存在と時間」を想起してしまう。
ラストでは走馬灯のようなホームビデオ風の映像が流れて、“過去から現在、未来へと続く「時間」の中に存在する自分”ということかなと。時間内存在となったバービー。

・ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023)

・北北西へ進路を取れ(1959)
アルフレッド・ヒッチコック 監督

【展覧会】
京都市京セラ美術館
「村上隆 もののけ 京都」展
新作が多数の個展。京都をモチーフにしたものも多かった。
最後の部屋に、「芸術作品は反芻して理解するもの」という村上隆の言葉があった。この展覧会で見たものをこの先思い出すうちに、いつかもっと理解できるかな。

日本庭園にそびえるお花の親子とヴィトントランク
五山もニコニコ



タイトル画像:
連休に帰省した際、新緑が見たくて山のほうへ行ってみた。
目に鮮やかな緑。
息子と歩いていたら、小指の先くらいの小さなナナフシを見つけた。


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