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わかってない!

先日、友人と、親子関係について話していた。私と母の関係について聞かれ、私は、「最近は、”母にわかってもらいたい”と思わなくなった」と言った。
「母は母、私は私」と思うのだ。
昨年末、ある夢を見たことがきっかけで、それを自覚した。

夢の中で、私は母と、実家の台所にいた。なにか、私にとって受け入れ難いことを母が言った。それで、私は母に「違う」と言った。それから、渾身の大声で「わかってない!」と。あなたは私をわかっていない。
感情があまりに強く、そこで目が覚めた。激しい動悸がし、「わかってない」という叫びが頭の中で反響していた。実際に喉を震わせて発声したかのように、疲労感さえあった。
同時に、「あれは母じゃない」と直感した。夢に現れたのは母だったが、私のことを理解しないのは彼女ではない。母のことを考えても私の心は波立たない。
私はもう、「母にわかってほしい」と思わなくなったと、その時気づいた。「母は母、私は私」。この感覚を得てから、気持ちがとても楽になった。

なぜ、そう思えるようになったのだろう?

第一に、私が自分をわかりはじめているからだろう。自分を「わかる」ことができる最良の人物は、自分自身だと思う。もっとも、これに関しては夫の存在が大きい。私の探求と迷走に興味を持って付き合ってくれる彼は、分析医のようだ。私も彼にとってそんな存在になれたらと思う。

第二に、母に対して主張できるようになったこと。自分が成長して自信がついたのだろうか。言いたいことがあれば言える。面白いことに、そうなってみると、言いたいことがあまり見つからない。ため込んだものがない。以前は、表現できない感情が心の内で荒れ狂っていたのに。

私自身が親になったことは、影響しているだろうか。
冒頭に書いた友人との会話で、自分の母との関係は「子供ができた時に少し変わったかな」とも私は言った。そのことが、後で自分の中で引っかかった。
影響がなかったわけではない。だが、それは単に、育児との両立のために地元に帰って就職し、母とのコミュニーケーションが量的に増加したというだけのことだ。
親になることで、自分が成熟するとは限らない。子どもとの時間は、そんなに自分にとって都合の良いものではないだろう。

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