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『実家本屋改造計画』③「腫瘍」

シティに帰る新幹線の中で、これを書いている。すなば『さよならシティボーイ』は、ロングセラー絶賛発売中だ。引き続きよろしくお願い致します。地元の回転寿司は、安くてべらぼうに美味いのだが、全然時間が無くていけなかった。めちゃくちゃ美味しいお弁当屋もまさかのお休みで買えず。あの定食屋も、ラーメン屋も、とんかつ屋も、うなぎ屋も、全部全部無くなってしまった。そして、あの人達もいなくなった。みんな、何を食べているんだろう。

私は、地元にも「帰る」と言うし、東京にも「帰る」と言う。帰る場所がたくさんあるのは、良い事だと思う。もちろん、たったひとつだけでもあればいいし、たったひとりだけでもいればいい。あなたは、いつだって帰る場所を選べるのだ。そして、あなたは誰かの帰る場所でもある。

昨夜、23時過ぎに無事手術が終わった。執刀医の先生に切除した腫瘍を写真で見せてもらったのだが、それはまさしく『腫瘍』という漢字がぴったりな代物で、『腫瘍』という漢字を考えた人やばいな、という感じであった。何かの映画で見た事あるなーこれ、という感じでもあり、あー確かにこれは腫瘍ですね、というような話を、先生と迎えに来てくれた従妹とした。

先生は、声優の恐らく夏フェスのグッズのサコッシュを朝からずっと身につけていたが、特にそこには触れずに話を終えた。お世話になったので、何のアニメが好きなのかを聞いても良かったのかもしれない。病院への滞在時間は、15時間程度だった。自分は特に入院した事も無いので、人生で一番長い滞在である事は間違いない。どうか人生でこれが一番長い滞在のままでありますように。どうか、大切な人達には健康でいてほしい。願うのは、健康だけ。City Your City。

話を少し戻すと、11/13の月曜に母と従妹が親父の入院の付き添いをして無事入院となったのだが、実はその付き添いの帰りに母が病院の駐車場で超派手にぶっ転び、そのまま母と従妹は病院にUターンしたという事件があった。検査を受けているとの連絡を受けたシティにいる私は、まさか両親二人が同時に入院か…?と少し震えていた。従妹から後程診察や検査の結果を聞くと、打撲とかはあるが、特にやばいのは無さそう、との事でホッとしたのであった。色んな出来事が起こるにつれ、親族内に誰か厄年の人がいるのではないか、という考えが浮かび会う人会う人に聞いてみたが、特に当てはまる人はいなかった。そういえば、私は初詣に数年行っていない。混んでるから、嫌なんだよな。今年、というか2024年は行っておくか。縋るわけではないが、たまにスピりたくなる時もある。

新幹線で、ある作家のすごく話題になっていた育児の記事を読んだ。面白かったし、本当にすごい文章だった。ただ、パーツパーツでこれまで本当にたくさんの『母』の皆様が発信してきた事柄が内包されているように思い、既視感はかなりある。シェアした人が全男性に読んでほしい、と一括りにしてくる事や、著名な人の言葉だけが広まる事などに何だかモヤっとしていた。記事を検索して出てきた著名な人物が、結構苦手な人だからというのもあるかもしれない。うわー、となる。

ずっと目の前にあったはずの問題を見逃し続け、身近な人や大事な人の声を聞かなかったくせに、声がデカい人の声だけが聞こえて、初めて問題に気付いている感じがするのが、自分の中でモヤモヤしているポイントなのではないだろうか。どんなに小さな声でも、耳を澄まして聞くべきは、自分の周りの人の声だろう。巧く言葉に出来なくてもどかしいし、何にこんなにイラついるのだろう。それでも、やはり記事を書いた作家の本を読んでみたくなった。

続く。

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ヘッダーは、漫画『モテキ』の①巻で幸世といつかちゃんがデートする時に出てくる地元の駅のモニュメントです。

#エッセイ #コラム #日記







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