見出し画像

まるで異世界?京都伏見の大岩神社

異次元空間は、世界のヘンテコを追う同人誌「異次元空間」のオンライン版で、風変わりな場所と構造物の紹介がメインです。

京都と聞いて思い浮かぶ景色といえば、金閣寺や清水寺、東寺の五重塔、伏見稲荷大社あたりだろうか。京都には著名な神社仏閣も多い一方で、あまり人には知られていない場所もまた数多く存在する。

今回の異次元空間では、異世界のような鳥居が立つ京都伏見の大岩神社を紹介したい。

京都駅からJR奈良線に乗ること数駅、有名な伏見稲荷大社の最寄り駅、稲荷駅の次がJR藤森(ふじのもり)駅である。観光客でごった返す稲荷駅とは対象的に、住宅地にある静かな駅であった。

目的地、大岩神社はJR藤森駅から少し歩いたところにある。距離では京阪電車の藤森駅のほうが近いようだ。地区としては伏見区の深草にある。

郊外らしい町並みを歩くこと十数分、鳥居が見えてきた。

これが大岩神社の表参道である。既に異様な雰囲気が漂っていた。

この表参道は京都一周トレイルのルート上にも含まれており、公式ウェブサイトの地図をみると大岩山付近を経由しているのがわかる。大岩神社は宮司不在の廃神社だという情報もあるが、少なくとも参道は通行できるよう整備されているということだろう。

京都一周トレイル地図より部分拡大

鳥居の傍らにあった立て看板によれば、大岩神社についての要約は次の通りである。

江戸時代の山火事で古文書が消失しているため創建についての詳細は不明だが、深草地区の守り神であるといわれている。かつては結核の治癒に効験があるとして信仰を集め、大いに賑わっていた時期もあった。

鳥居から先の状況が不明瞭だったため、自動車用に整備された道の広い参道を上がることにした。しかしながら、この自動車道についても至るところに倒木や不法投棄を警告する看板が立っており不穏である。

京都らしい竹の小路にもかかわらず気分は上がらず不安が増していく。

しばらく登坂すること十数分、大岩神社が見えてきた。

灯籠が立ち並んでいるさまは、ここが聖域であることを主張している。

大岩神社の特徴ともいえる岩の鳥居を発見した。

中央部には小岩大神・大岩大神の文字がみられる。この鳥居は小さいので小岩大神にあたるのだろうか?

大岩神社の境内は鳥居が倒れていたりと荒れているものの、祭壇にはお供え物が確認できることから地元の方が定期的に参拝しているようだ。

上部がない鳥居や傾いた祠など、不安になりながらも薄暗い境内を進む。途中で展望台への道が別れている以外は一本道である。

大岩神社に岩鳥居は大小二つあるが、山の中腹ほどにあるこの鳥居が大きい方の鳥居である。日本画家の堂本印象氏が寄進したといわれる石造彫刻の入った鳥居は独特で、この神社の雰囲気を特別なものにしている。

植物や幾何学模様などが彫られた鳥居はアートの域に達しているといえよう。

Google Mapの全天球画像を見ていただければ、鳥居周辺の荒み具合がおわかりいただけると思う。

そのまま下山し、池のそばを通って竹やぶを抜けると先程の立て看板のある地点へと出た。昼頃にもかかわらず終始不安になる参拝であった。

展望台があるからか意外にも訪れる方は多いようで、ハイカーやカップル、親子連れの姿もみられた。たとえ静かに朽ちゆく神社だったとしても、そこに人々の信仰があればそれでいいのかもしれない。

日本にはまだ見ぬ不思議な光景があるものだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?