マウントポジションの果てに
プロレスラーって最初とことん「受け身」の練習をするんですよね。
相手の技を安全に「受ける」ために。
「殺す」「勝つ」だけが目的ならそんな練習は必要ないはずなんです。
どれだけ相手の技を受けないで効率的に息の根をとめるか、それだけを考えてればいいわけですから。
実際、総合格闘技系はそういう試合をしますよね。
いわゆる「マウントポジション」系の格闘技。
でもプロレスは違うんです。
プロレスは相手の技を受けるのが大前提なんです。
例えば全盛期の猪木の名言にこんなのがあります。
「いつ、何時、誰の挑戦でも受ける」
はい、「受ける」です。
「やっつける」ではありません。
「受ける」です。
プロレスの歴史を見てみても偉大な名レスラー達というのは、ほぼ全員、
「受ける」のがめちゃくちゃうまいんです。
相手の技を「受ける」というのは、単純にダメージを負う行為なので、「勝ち負け」の視点で見れば非常に効率が悪いわけです。
(だから八百長って言われるんですね。実際八百長なのかはここではさておき。)
しかし名レスラー達は相手の技を真正面から受けた後、まるで効いてないかのような涼しい顔を見せ、必ずリング上でこんな感じに振る舞います。
「あ〜〜〜〜ん?
なんだ〜〜〜〜〜〜〜?
もう終わり〜〜〜〜〜〜〜〜?
ウダウダ言ってた割に大したことね〜な〜〜〜〜〜?
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥」
これがプロレスです。
(だんだん書きながらテンションが上がってきました)
つまり、受ける側は偉大なるやせ我慢を発動して、相手に有無を言わせまくるのです!(優しい!)
そして攻撃する側はなんだかんだ攻撃して有無を言いまくります。いや、言わさせられるというべきか。
しかし名レスラー達はもれなく「受け」の達人でもあるので、全然倒れません。
次第に攻撃する側(有無を言う側)が疲弊してきます。
そして、名レスラー達の「もう、終わり?じゃあ、次は俺の番ね」みたいな重くて確実な反撃が炸裂して、場内のエモーションが大爆発します。
(イノキ!ボンバイエ!✊)
ここには2つのポイントがあります。
それは「相手の技を受けることによって相手の良さを引き出す」という点と、「それにも関わらず最終的には自分の方が強いんだぞとアピールできる」という点です。
僕がここで重要視したいのは前者、「相手の技を受けることによって相手の良さを引き出す」という点です。
プロレスには相手に有無を言わせる、相手の攻撃を真正面から受けてやる、ある種の「懐の深さ」があります。
そうすることによって試合が面白くなるし、面白くなればお客さんも盛り上がるし、盛り上がれば全体としての評価や利益につながることがわかっているんですね。
「単なる勝ち負け以上の何か」を目指してるわけです。
「すんげ〜前向きな炎上商法」とも言えるかもしれません。
しかし、この「懐の深さ」はプロレス最大の魅力でもありますが、同時に世間からとやかく言われる最大の「隙」とも言えます。
「長所は短所であり、短所は長所である」ていうアレですね。
ただ、明らかにそこには「マウントポジション」や「勝利」を目指すだけでは見えてこない世界があります。
昨今プロレスブームが再来してきていると言われていますが、なんかわかりますよね。
みんな「マウントポジション」や「勝利」だけを求めることに限界を感じ始めてきてるのかもしれないですね。
ところで、現在のプロレスブームの下地を作ったのは新日本プロレスの棚橋(ネ申)だということはほとんどのプロレスファンが一致するところだと思うんですが、棚橋(ネ申)の決め台詞、知ってますか?
「愛してま〜〜〜〜〜〜〜〜〜す!✊」
です。
しかも、全力の。
「やっつけるぞ!オラ!」みたいなやつじゃないんです。
もう一回言いますね。
「愛してま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す!✊」
です。
ちょっと恥ずかしいですよね?
これは一体なんなんですかね?
なんかツッコミたくなる隙がありますよね?
そこなんすよ。
この隙こそがプロレスであり、そして、これからの時代に必要とされるであろう懐の深さなんですよね。
「どんだけ相手に有無を言わせないか」ではなくて、「どんだけ相手を受け入れられる隙(余地、余裕)があるか」っていう。
しかも、なんだかそっちの方が楽しそうですね。
さ、プロレス見よ
(期せずして今日ハンセンのツイートを連打してました☺️↓)
ツッコミどころがありすぎるw
🤘🤘🤘🤘🤘🤘🤘🤘
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