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開腹の兆し②

かれこれ20年はお世話になっている かかりつけ医は内科・小児科で家から車で5分もしない小高くなった場所にある。
地域でも信頼度の高い町医者であり、私自身とても親切に接して貰っていた。

先述した便秘診断をした医院である。
その件を知っている家族から指摘は受けたものの、「とりあえず行くよ」と笑って返答をした。

そもそも、専門医ではないので見誤る事もあるだろうし、レントゲンに収まった私の大腸にギッシリと便が詰まっていたのは事実であったし…

あとは…忖度。田舎のお付き合いは否めない。

そんなこんなで、何かあれば通い続けているかかりつけ医へ向かった。

コロナ禍により、医療現場も様変わりしたように、ここも例外ではなく。以前ほどの混み具合いはなく、受付後数分で中待合室へ通された。

出勤前に寄れる街のお医者さんなんてのは
有り難い限りだ。
痛み止めでも貰えれば良いのだし。

症状は『仰向けに寝ると突っ張る右下腹部に触れるような?鈍い痛みがある』
と予診の看護師さんに伝えると、中に入るよう言われ移動しようと踏み出すとなんだかとっても『お腹に響く』

病院内の床、スリッパを落とさないように、パタパタ音が立たぬよう歩くと床の固さが直接内臓に響くような?
そんな感覚に気がついた。
『…なんかさっきよりも痛くなってるような…』

かかりつけ医の向かいにある丸い木製の腰掛けに座ると内臓が浮き上がるような感覚がした。

あれ。
なんだか急に…具合いオカシクなってない???

症状をかかりつけ医に伝えて、ベッドでの触診へ促されて横になるとますますの違和感。

朝、こんなんだったっけ???
なんかほんとに、さっきより痛い…

予定では
診察終って…お薬やらで様子見ることになって…
そのあと、パートに行くつもりなんだけど…

行けるの?これ。やれんの?今日の現場仕事…


仰向けに寝そべると右下腹部の塊が隆起して先生が少し触れただけでも気付く。
「これ、自覚はありましたか?」

もっと以前に気が付かなかったの?とでも言われるのかと思ったけども、
『今日よ、今日になって色々とオカシイ感じ』なのよ…そう答える前に

「相当我慢してたんじゃない?これは痛いよね?」

と言われる。



『そこまで痛くもなかったし、なんなら、ここまで大きくもなかったハズ…』と言いかけたところ
「エコーで診ましょう」と指示を出て
また違う部屋で待つことになった。


…なんだ…今日はパート…
行かれないような気がする…。

超音波画像を診ながら先生が言った。

「右卵巣が5センチくらいまで…液体かな血液なのかな…何か出来てるのか、溜まっているのか…」

「紹介状書きますのでなるべく早いうちに詳しく調べて貰ってください、今日…これから行ける?」


はい。便秘ではなかった。
パートは休むしかない。

融通は利きやすいパート先ではあるものの、休み明けの出勤日にまたお休みというのはさすがに申し訳なく思いつつも、この膨らみをそのままにするのはちょっと怖い。


ベットからのっそりと起き上がり会計を済ませ、パート着の、パート支度のまま紹介状とエコー診断のデータが収められたDVDを持って、隣町の病院へ引き続きマイカーで自分で運転をし向かった。


パート休憩中に食べるつもりで用意したお弁当までそのまんま持っていたので

…弁当はどのタイミングで食べられるのだろうか?
…車に置いといたら傷んじゃうかな?

などと考えていた。


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