志村信裕

1982年生まれの現代美術作家。武蔵野美術大学大学院修了後、横浜、山口、パリを経て、現…

志村信裕

1982年生まれの現代美術作家。武蔵野美術大学大学院修了後、横浜、山口、パリを経て、現在は千葉県香取市を拠点に活動。noteではワークショップや美術教育について書いています。ワークショップ、講演の依頼があればHPのコンタクトからご連絡ください。 http://nshimu.com

最近の記事

「自分のアバター(分身)をみつけよう」のお知らせ

こんにちは!志村信裕です。 今日は子ども向けワークショップのお知らせです。 noteでこうしたイベントの告知をするのは初めてですね。 今回は横浜市民ギャラリーからのご依頼。お願いされたのは、通年プログラムである子どものためのアトリエ講座「ハマキッズ・アートクラブ」でのワークショップです。対象が小学1~3年生というのは横浜市民ギャラリーからのリクエストで、こんな内容のワークショップを考案させてもらいました。 自分のアバター(分身)をみつけよう モノをよくみて、自分の分身にな

    • 久しぶりにオンラインワークショップをやってみた

      お久しぶりです。 何と一つ前の投稿が2020年11月20日なので、一年以上も更新していなかったことに驚きを隠せませんが、皆様お元気でしたでしょうか? noteではコロナ禍を機にはじめたオンラインワークショップをはじめ、自分のワークショップ活動について書いていたのですが、ここ最近は本業の作家活動の方が忙しく、作品の制作や展覧会の準備に明け暮れていたら、すっかり一年もブランクが空いてしまった訳です。 そんな事情で更新がないにもかかわらず、つい先日、驚くことにnoteに掲載した

      • 問いをつくる力 -こどもと哲学

        コロナ禍をきっかけに、今年の夏からオンライン上で子供たちを対象にしたアートのレクチャーを始めました。 今はまだ小規模ですが、自分の実践をこれから徐々に広めていこうと思っています。ただ、自分が今やっていることを明確に言語化するのは難しく、自分が志向していることをもう少し的確な言葉で整理しなくてはいけません。 何故なら、「子供向けのアート教室」という、いかにも人当たりの良い言葉のニュアンスでは言い表せないようなことをやっているからだと思います。まずはそこから言葉の再定義をした

        • 価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【後編】

          前回の投稿のつづきです。 お金の起源が貝だったということを子供たちに話しましたが、その後、お金は社会の中でどう変化していったのか。 人間の共同生活が大きくなるにつれて、例えば大きな建物や大きな船をつくろうとなると、これまで以上に希少価値のある貝が必要になってきます。 ただし、貝は自然物で無限にあるわけではありません。むしろ無限にあったら価値そのものが無くなってしまいますよね。そこでどうしたのか? 4. 複製技術とお金 コインとお札の発明です。 つまり、鋳造技術と印刷

        「自分のアバター(分身)をみつけよう」のお知らせ

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【前編】

          2013年の夏に群馬県立近代美術館で開催された「こども+おとな+夏の美術館 アートといっしょ」という現代アートのグループ展に参加しました。 参加作家は遠藤夏香さん、さとうりささん、祐成政徳さん、タムラサトルさんと僕の5組で、担当学芸員は熊谷ゆう子さんでした。 夏休み期間中の展覧会ということもあり、子供たちを対象とした体験プログラムやワークショップが盛り込まれ、自分に対しても会期最終日の前日に小学生を対象にしたワークショップを開催してほしいとお願いされました。 以前にも書き

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【前編】

          一方向ではなく、双方向〜これからの教育について考えたこと

          オンラインによる美術教育を始めようにも、お手本になるモデルが無かったので、まずは講座のスタイルをどうしようか考えました。 たとえば大学の講義の場合、90分という授業時間内に、先生の話し言葉である音声、黒板へ板書するなどの文字情報、そしてスライドや映像などの視覚的な情報を加えるなどして、講義内容を対面する学生に伝達します。 一方的な授業スタイルですが、大学では多い時で数百人規模の生徒を相手に授業をしなければいけないので、このスタイルが最も効率的なのでしょう。 自分の場合は、

          一方向ではなく、双方向〜これからの教育について考えたこと

          ワークショップの苦手意識から生まれた新しい視点

          現在、自分が取り組んでいる子供を対象とした美術教育の根底には、過去に自分が各地で行ってきたワークショップでの経験と気づきが反映されています。そこで、今回はワークショップについて書きたいと思います。 自分はアーティストとして、これまで美術館で作品を発表したり、街中でのアートプロジェクトに参加してきましたが、作品を展示することとは別に、主催者からワークショップを依頼されることがあります。 でも実は、ワークショップにはずっと苦手意識がありました。 アーティストの中にはワークショ

          ワークショップの苦手意識から生まれた新しい視点

          【序】美術教育について書く

          2018年に岡澤浩太郎さんが編集する『mahora』という、手仕事のような個人誌に文章の寄稿を依頼されました。どんな内容の文章を書いたかというと、編集者の林央子さんとの往復書簡を通して、2016年からの2年間の海外研修が終わり、パリから日本に帰国する前後に体験したことや、考えたことを綴らせてもらいました。林さんとのやりとりを通じて幾つかの話題を書きましたが、とりわけ日本に帰国してからやりたいことの一つとして挙げた「美術教育」に対して、実際に読まれた方からの熱烈な反応が返ってき

          【序】美術教育について書く