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製造工場移転とか製造工場新設

これまで、製造工場移転とか海外工場に新設する製造ライン設置とかに携わってきました。引っ越しなどのイベントはゴールが明確に決まっており個人的には、やりやすく好きな仕事です。この手のものは手順とか、やり方が書かれた参考書とかマニュアルなど無いので参考になればと思います。

準備
・移転先構想
新規製造ラインにしても移転先でも、どのような製造ラインにするか構想を立てレイアウト検討していく。

・レイアウト作成
構想を具現化するためにレイアウト案を作成する。

・移転先建屋確認
天井高さ、床耐荷重、床仕様、、

・インフラ仕様作成
電源、エア配管、排気ダクト、、、

・移転輸送タイムスケジュール作成
どの順番に送り出し、どの順番に搬入するか決める。

・業者との打合せ調整
搬入経路、搬入順番、付帯工事タイムスケジュールなどを設備メーカー、輸送業者、インフラ工事業者と段取りを打ち合わせる。
特に運搬経路のエレベーターを使う場合は、サイズ(高さ/奥行/幅)、最大積載荷重を知っておく必要がある。また、細かいことだが何らかの台車に載せて運搬することも忘れずに。

製造部門
・必要な什器備品リスト
製造に必要な什器備品リストを作成する。
リストには、移転先アドレス、員数、、。

・レイアウト
製造ラインと付随するもの含め物流動線と配置を決める。

・治工具電源
インフラの中でも確認を忘れがちなことで、治工具の電源容量が移転先で足りないことがあるので注意が必要です。指定しないとファクトラインは30Aが設置されることになる。

・部品置場
物流動線と製造ラインを考慮して部品置場を配置する。

・不要物廃棄
移転元の不要物を廃棄する(不要物を運ばないようにする)

・物量調査
基本的に輸送業者に見積もってもらうことになる(勿論、自分達で行ってもよい)

・環境影響
環境影響物質などは使用している部門でしか情報が無いので忘れずに溶剤、廃棄物などは移転先の自治体(海外も同様)に事前に確認し必要な申請をしておく。特に海外は規制が厳しく使用できないものがある。もちろん海外は英語版の資料を準備する。

移転タイムスケジュール作成
・搬出と搬入の順番
搬出設備のインフラ関係を外す順番
搬出は装置の移転先配置場所を考慮しながら順番を決める。
搬入はレイアウト的に奥から搬入する(場合によっては一旦搬入後仮置き)

・輸送業者、インフラ工事業者とスケジュールの打ち合わせを行う
搬入搬出順番が決まったら業者と打ち合わせ(餅は餅屋の意見を聞く)

・搬入と設備セットアップとインフラの継ぎ込みの時間確認
通常設備メーカーは一次側の接続作業はしない。

・設備設置手順確認
連結する装置などは、仮置きから定位置へ設置の順番確認するが設備の搬送レールを基準にするしか方法が無いようです。
設備外装は精度がありません。

移転先
・輸送業者の下見
トラックヤードの位置高さ、クレーンを使う場合に建屋庇との関係を確認してもらう。

・インフラ工事確認
電源、エア、排気ダクトのそれぞれの設置位置を事前に確認しておく。
私の経験で、海外工場の時にはエア配管が2mズレていたことがありましたが、搬入前に気づけたことがありました。

・設備位置の墨出し
設置の墨出しを行うが、目安的に床にテープを貼ったり糸を張っておくと便利です。

・アドレス表示
搬入場所に分かりやすくアドレス看板を設置する。また、所々には全体が分かるように全体図を設置しておく。

・搬入経路の壁や床養生
当日、もしくは前日に壁、床の傷防止のために行う。

当日の要員配置計画
・朝会
業者と本日の予定としてミーティングを行い安全確認をする。
必要に応じて、自分達メンバーとも最終確認をする。

・搬出元、搬入先の要員計画
それぞれに、全体統制責任者、運搬業者監督、進行スタッフ、予備要員などの役割を持たせた要員を配置する。
注意が必要なのは、組織上の上位役職者が全体統制責任者をしてはいけない。全体のスケジュールが頭に入っている者がこれを行い、発生したトラブルや、進捗の遅れに対する指示が的確に行える実務者が最適と思います。

搬入終了後
・什器備品のセットアップ
何をどこに置くのか事前に決めておいたアドレスに設置収納する。

計画書:ガントチャート
計画書はガントチャートやWork Breakdown Structure(作業分解構成図)で作成することになると思いますが、エクセルでガントチャート作成して十分に進めることが出来ると思います。大日程、中日程、詳細として作成する。

ここに記載したのは主に製造設備に関するものですが、これ以外に従業員に関するものであったり、資材、完成品出荷、取引先等やることは山ほどあります。
そういったことも必要に応じて関係者と進めていけば良いと思います。


こういった多数の関係者や業者と連携するプロジェクト業務の進め方として『自分もしくは自分達で案を作成する』 ⇒  決める
『その案を提示する』  ⇒  意見を聞く
『案を修正する』  ⇒ 実行計画決定する
普通の会議体でもそうですが、面白いことに案とかを「決める」と言わないと意見が出てこないものです。
どうも、決めたとか決めるとか言われないと自分にどのような影響があるのかイメージできないのか、ほとんど意見が出てこないものです。
したがって効率よく進めるには決めること決めたことを提示して進めることをお勧めします。

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