妥当性のない計画
これまで大企業から中小企業のいろいろな人達と仕事をしてきました。
製造業を中心に業務をしてきて気が付いたことを記します。
業務を進める上で必ず何らかのスケジュールや実施計画を立てて進めることになりますが、時々これが出来ない人達がいます。
自分なりに計画を立ててはいるが、項目が抽象化したままで具体的項目に落とし込むことが出来ていないのです。結果的に、期日が来ても何も出来ていない。所謂、段取りが出来ないのです。
製造工場における製造部門は、製造するために作業標準書を作成して作業者に教育した上で作業に就かせることになる。
この作業標準書は、品質の基になるものなので手順、動作、組立順番、製品の配置などを吟味した上で作成するものです。
中小企業では、どうしても組織的に弱いところがあり、また教育不足なところから担当者のスキルに依存して作業標準書を作成することになる。
従って、その時々の作成した担当者によって、記載してある内容がまちまちで品質問題が発生することがある。
例えば、作業標準書と実際の作業と製品配置が逆になっていたり、判斷を作業者に行わせるような構成になっていると間違いが起こる。
ある時、この作業標準書の記載内容が元で顧客先からの品質問題のクレームに対応することになった。
事例
次のような連絡がB担当から
スケジュールの日程ですがA課長と話して下記の日程で進めていきます。
①文書の体系化 ・・・ 11月末
②作成、検討、承認 ・・・ 11月末
③記載すべき項目 ・・・ 12月末
④治具の棚卸 ・・・ 指示書見直し後に追加
⑤作業標準書の見直し・・・ 別途工程毎にスケジュール作成
これらの①~⑤各項目は具体的に何をするのか説明してくださいと聞けば、
A課長『え~、その~、①文書の体系化は、、、11月末までに行います』
私『具体的に何をどのようにするのか分かりませんね?』
何を思ってこの様な回答をしてきたのか?疑問ですね。
典型的な妥当性のない計画ですね。
考えていないのかと聞けば、
A課長は『考えています』と回答するが、、周囲から見れば全く考えていないのです。
何でもそうですが、自分の評価じゃなくて第三者が出来ていると認めて初めて出来ると評価されるものですよ。
※話は逸れますが、このような体質の組織は昭和時代から1ミリも進歩していないですね。
進め方として
計画は決めたがその通りに出来ないのは具体性がないのが主な原因。
指示したはいいが、指示された者がどうしていいか分からない。どのように手を動かしていけば良いのか分からない。
項目を抽象化したままでは誰も何をすればよいのか分からないのです。
事前の準備で出来る確立が決まることになる。
事前の準備とは『段取りがすべて』で、これが不思議と出来ないのですね。
この事前準備となる段取りです。
『段取り力を鍛える』とか、『段取り上手』とかネット検索すれば山の様に出てきます。
残念ながら、それを読んでも出来るようになりませんね。
これは理解しきれていないのか、説明がズレているのか、、。
これも、段取りの問題ですかね?
ネットでは抽象的に書かれているので具体的に行動に移せないのではないかと思います。
広辞苑では
段取り:事が上手く運ぶように手はずを整えること。また、その手順や準備。
段取りは、家を建てることをイメージすれば良いかと思います。
まず、
・土地均し
・基礎工事
・柱立て
・~~
・~~
どの業者を、どの順番で、養生期間、、、
段取り力の基本は
・具体的な項目出す
大項目 → 中項目 → 少項目
・各項目との前後左右の順番を決める
自分が行うこと、依頼すること、どの順番に進めるのか
まとめ
社会人の中には、計画を実行する段取りが自然と出来るタイプと出来ないタイプが存在します。これは指示の基に業務(指示待ち)をしているタイプは後者に該当すると思います。このタイプは自分で考えないし、考えてもいない。年齢を重ねた人程、この修正が困難です。段取りが上手く出来ない人は自分でどの様な手順でやれば良いのかが考えられない。
実施計画立案と進め方は、誰もが出来るようになるとは考えない方が良いですし、教育なんて時間の無駄になります。
それぞれの得意分野で組織配置をしておくのがベターと思います。