見出し画像

ある係長

これまで大企業から中小企業のいろいろな人達と仕事してきました。
出会った人達の中には、当然いろいろなタイプを見てきましたが、
ある係長とのことを記したいと思います。
職場に指導できる文化がないと生産性が上がらない事例。


ある係長
製造工程の一部門である最終工程を担当しているD係長である。他部門から製造部門に配属されてから2年程度経過したところである。
現状は日々出荷に追われとても忙しく日々過ごしている。
日常業務中も自分の席に座る暇もなく、電話、作業者への指示問い合わせ、進捗、製品がどこまで進んでいるのか確認作業とで、あっという間に一日が終わってしまう。
誰とか話をしていても、電話が掛かってきて中断してしまう。
部下総勢は18名、その構成は リーダー2名 社員+パート9名 派遣社員7名

ある日
始業時、朝会で今日の予定など説明し業務開始したところ。
そんなある日、いつものように忙しく動いているので、D係長を捕まえて幾つか質問してみることにした。

幾つか質問してみた
その1:一日の中で何度も電話を受けているみたいだけど何の電話?
D係長:『今のは、出荷状況の確認で、今日の予定はどこまで出荷出来るのか?とのやり取りです』
:『それって、事前に予定を出してないの?』
D係長『出来るところまで頑張りますと回答してあります。』
:『それじゃ、相手だって確認の電話してくるよね?それも、何度も
事前に工程責任者なのだから工数的にどこまで出荷出来るのか分かるよね?』
D係長:『そうですね~』
:『なぜ、そのような回答してあげないの?
だから、何度も電話してきてお互いに時間を費やしているのですよ。
そんなことしているから時間が無くなって忙しいのでしょ?』

その2:製品貼付け伝票を毎度毎度確認しながらD係長が搬送しているのはなぜ?
D係長:『出荷リストの製品が、どこにあるか確認してリーダーに指示しています。』
:『本日の予定を提示しているが、製品に添付してある伝票を見ないとわからないことが問題なのではないの?
各作業者の担当エリアに、出荷順番に並べるように決めたらどう?』
D係長:『一応決まっているのですが、、。』
:『でも、D係長も、作業者も伝票確認しながら製品を選択しているよね?どうしてかな?』
D係長:『製品シリーズが幾つかあってそれを確認しています。』
:『なら、三角帽など誰が見ても分かるようにしてはどうなの?』
D係長:『あ~はい』

その3:かれこれ製造部に移動してから2年同じ状態で忙しいようですがなぜ?
:『いつ見ても、電話しているか、製品搬送しているかのどちらかに見えるけど、どうしてなの?』
D係長:『出荷問合せがあったり、本日予定の製品がどこにあるか確認しています。見つけたら、それを作業者に運んでいます』
:『いつも忙しくて何か改善したいと思わないの?』
D係長:『思いますけど出来てないです』

その4:今週なにか改善したことはありますか?
D係長:『これから、製品一時置き場の所、三角帽を作ります』
:『え?、その話は月曜日にしたよね?』
D係長:『そうなんですが、今日やります』

その5:金曜日ですが、今週の成果と来週のやることは何ですか?

D係長:『今週の成果は、、、、、』
:『では来週のやることは?』
D係長:『改善をしたいと思います』
:『具体的に何を?』
D係長:『・・・・・・』


その6:製造部に配属されてからどんなスキルが習得できましたか?
D係長:『いや~自分ではわかりません』
:『じゃ質問変えるね。何か習得したいことなど決めて仕事してきたの?』
D係長:『いや、特に無いです』
:『それじゃ~、何も身につかないよね?』
D係長:『・・・・・』

D係長本人は物凄く頑張って仕事している。多分、本日の仕事が終了して『今日も忙しかった!無事、予定のものが出荷出来た!』と、本人はこれで満足して今日一日が終了したことに満足しているのではないかな~。
この2年間、毎日同じ様に過ごしてきて職場業務の問題を見直すことが出来無かったようですね。この状態を上司に、指導も教育できる人材が居ないとこうなるのも当然ですね。また、これも不思議なものでD係長の様に、誰かに聞いて改善しようと行動しないのですね。よく言われてる、行動するのは3%とか。

まとめ
『思考と行動』が出来るように組織的に指導と教育が受け継がれる様に企業文化が出来ていれば、この係長の様に2年間を無駄に過ごさなくて済んだのではないかと思う。大企業の様に組織レベルに合わせた社員教育システムが出来ていれところは良いが、中小企業となるとこういったシステムも文化も人材も不足しているのが現状なので一向に生産性が上がってこない。
中小企業の経営層は、どうしてこの事に気が付かないのかいつも残念に思います。経営層はピーターの法則に陥っているのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?