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たかが摘便、されど摘便 後編

「金の指」の持ち主

訪問看護の所長は大ベテラン。自他ともに認める「ゴールドフィンガー」の持ち主でした。時々一緒に同行すると、所長は車の中で「私の指はゴールドフィンガーだから!(笑)」とよく言っていました。


私みたいな教科書通りにしかできない初心者は、ただグリグリ書き出そうとするだけ。訪問看護師のベテランになると、指を入れただけで便の量や硬さから「いつ頃食べた食事」の便か分かるんです。そしてちょっとのポイントでドバーッと出しちゃう。しかも、マッサージで便だって動かしちゃうから本当にすごい。

指一本でできる処置のはずなのに・・・

ベテランに比べて私には、そのポイントがなかなかわからない。
手袋もして処置するから余計に指の感覚がわからない。
見よう見まねでクルクルやって出そうとするけれど便だけが
クルクル回って出すどころじゃない。

摘便に合わせてお腹のマッサージもするけれど結構な力が必要で本当に腕が攣りそう!!
しかも、私は指が短いからどんなに指を突っ込んでもべんまで届かない!
そのうち指が攣りそうになる!

そんな時私のやり方を見ていた先輩看護師が「敵便は指の背中に乗せて出すんだよ」と教えてくれました。実際にやってみると本当にスルスルと出てくる出てくる、訪問看護師の技ってすごいなと思いました。だってこういうことは教科書にも載ってないし、今流行りのe -ラーニングにだってなかったですから!

排便ケアを制したものは訪問看護を制すと言ってもいのかもしれません(^_^)

排便は大事!

若い人の数日の便秘であればそんなに問題ではないですが、やっぱり便が出ないと活動したい気持ちも明らかに落ちてくるのを目の当たりにしました。

便が出ない→
お腹が張っている→
体が重い→
あるいはいつ出るかわからないから怖い・・・

というように気持ちが沈むので活動も減るようです。そうなると食欲だって減るので悪循環に陥ります。実際にちゃんと出ると「ご飯が美味しく食べられた」という方がほとんどでした。

そのため訪問看護では病院以上に排便ケアが重要になってくるわけなのです。

たった1本でできる摘便処置は簡単そうに見えて実は奥が深いのでした。



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