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中村主水で考える🤔~裏の顔を持った人物の魅力と恐ろしさについて~

私の住んでいる地方の、ローカル放送局のサンテレビだか?KBSテレビだか?で、「必殺仕事人」って時代劇をしていたんですが、偶然着けたチャンネルがそれだったんですね。

番組的には、ザ・昭和(バブル期前頃~)に作られた番組で、主人公は八丁堀同心(警察兼役所の職員的な仕事)の「中村主水」と言って一見冴えないサラリーマン風な男ですが、演じるのは名優「藤田まこと」さん。他には、時代劇「剣客商売」で、主人公の老剣客を演じておられますし、「鬼平犯科帳」劇場版では、大阪の枚方宿から主人公の長谷川平蔵を暗殺するように仕向ける悪の大親分を演じておられます。

さて、話しを戻しますが、この「中村主水」ですが、一見冴えないサラリーマン風の武士でありながら、実は「仕事人」という暗殺稼業が裏の顔。もちろん、剣の腕は凄まじく立ちます!「必殺仕事人」の番組内でも、主にボスキャラをメインに担当して暗殺します。

しかし、そんな中村主水ですが、本当に凄みを出すのは、相手を殺す瞬間だけなんです!わかります?普段は一切凄みが出ない。いや、出さない!

もちろん、あれだけの腕ですから、普通ならちょっとした仕草や姿勢・視線、今までの修行で身に付いた反応や、今までの修羅場で鍛えた感覚みたいなものが、(出来る相手であれば)見破られてしまうものですが、それらの跡形を一切隠し切ります。

で、普段の生活の中ではダメ社員やダメ夫を装うのですが、なんと、上司・同僚に妻君や義母まで気付けない(中村主水は婿養子)。
だから、彼(中村主水)の中では、自分の正体を看破出来るような人物は、「必ず殺す(または仲間にする)」必要がある人物となります。まあ、強烈にして、絶対的な人物判断尺度ですね💦しかも、中村主水には「表の顔」である、「八丁堀同心」で出世したい、と言う意欲が全くないんですね。

もちろん、裏の稼業(暗殺業)の職人連中を率いる程ですから、表の仕事でも、その剣の腕だけでなく、人物を見抜く目、現場の状況把握と対策なども、その気になれば他人以上に出来るでしょう。表の顔での出世も当然やれるはずですが、しない。全く望まない。彼程の人物ならば、表の顔で出世する方が人生のリスクが少ないように思うのですが?

おそらく、中村主水の若い頃の修行時代あたりに表と裏が発生した、何かしらのエピソード的なものがあるのかも知れませんが、そんな詳しいスピンオフもありません。一作だけ、兄弟子と闘う(実際は闘うイメージだけ)という放送回があったようですが、彼がダークな裏の世界に人生を賭けた理由を、完全に視聴者(大衆)が理解したとは言えないようです。

おかげで中村主水の不思議な魅力は、藤田まことさん亡き後も、十分に生き続けています(再放送の常連です)。

この中村主水の強烈な二面性誕生の正体を解き明かさなかったこと、または、広め切れなかったことこそが、時代を越えて魅力を保ち続ける要因になったのではないでしょうか?

謎に満ちた男って、やっぱり魅力的ですからね!

でも、最近なんて社会全体が自己アピールの無限地獄みたいになっていますが、その真逆で自分の過去の修行や修羅場の跡形を見せず、喋らず、悟らせず。裏の稼業をひっそりと凄腕でこなす!

魅力的でちょっと憧れますが、こういう人物こそが、もしかして、本当に側にいたら恐ろしい人物なのかも知れないなって、これを書いていて思います。

想像してください。あなたが過ちを犯せば、出来の悪い同僚か部下が、ある日あなたを突然「ブスッ」と…💦

あっ、「私なら返り討ちに出来る」なんて勘違いしないでください!あなたは、彼を「ダメな奴」と見下して油断している状態で、尚且つ不意を突かれています!

もちろん、正面からやっても勝てるかどうかはわかりませんよ?何せ彼は、あなた以上の修羅場をくぐり抜けて来た化物なのですから…💧

※テレビ番組「必殺シリーズ」には、仕事人だけでなく、仕置人や仕留人などがあり、シリーズによっては、中村主水がリーダー格ではないシリーズもあります。全作を観た訳ではありませんので、浅い考察ですが、お許しください。