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「『世界的なスマートシティ』を目指し、 福岡を共創する」- LINE Fukuoka 株式会社 Smart City 戦略室室長 南方 尚喜さん -【ミライロ仕事図鑑】

ミライロ仕事図鑑は、福岡商工会議所とNPO法人学生ネットワークWANのコラボ企画です。今回のインタビューは、福岡商工会議所NEWS6月号(PDF)に掲載されています。

「ユーザーとの接点」や「距離の近さ」などの福岡ならではの特長を活かし、ユーザビリティの向上や、地域における新しい施策など、価値ある取り組みを行うLINE Fukuoka 株式会社(以下 LINE Fukuoka)その中でもSmart City 戦略室は、「福岡市を世界に誇れるスマートシティに」を合言葉に、LINE の技術を使ったスマートシティの実現を目指しています。

今回は、そんなLINE Fukuoka 株式会社 Smart City 戦略室 室長の南方 尚喜さんにお話を伺いました。

LINE Fukuoka株式会社 とは
「福岡で、福岡の皆さまとLINEをつなぎ、福岡の人たちと一緒にLINEを育んでいく」という想いのもと、LINE株式会社と連携しながら、「LINE」のさらなる成長に向け、速いスピードで多様な事業を展開する。他にも、LINEサービスを活用した地域活性化イベントや、エンジニアなどの講演および技術交流会なども開催している。

LINE FukuokaのSmart City 戦略室について教えてください。

私たちSmart City 戦略室は、福岡で暮らし、福岡で働いているメンバーで構成されているので、福岡の皆さんが日頃の生活の中で困っていること、不便なことをよくわかっています。

それらの不便を LINE で解決することにより、「便利」が街中にあふれていく。私たちはこれを「スマートシティ」と定義し、プロジェクトを進めています。 

Smart City 戦略室は、LINEによって福岡の街がますます便利になっていくことを目指しています。

元々 LINE Fukuokaは、東京の LINE 株式会社が作ったサービスを運営していく会社として生まれました。

しかし皆さんもご存知の通り、福岡市民の皆さんは新しいものを積極的に使おうとする方が多く、自治体もITを使ったまちづくりに積極的です。

そういった点で、福岡はチャンスにあふれている街だと考え、LINEを使った「福岡らしい」まちづくりをしてみようと、このSmart City 戦略室が立ち上がりました。


Smart City 戦略室の特徴は何でしょうか。

私たちの組織の特徴は、とにかくチャレンジすることです。

空気を読んで遠慮してしまうのではなく、積極的に手を挙げてやりたいことに挑戦できる環境づくりを大切にしています。

メンバーは私に積極的に提案してきますし、可能性があれば権限を与え、主体的に動けるようにしています。

現在は中途採用のメンバーが大半ですが、前職の業種や出身が様々で、違う価値観や経験、スキルを持っている人が集まっています。

ですから、各々の視点で「もっとこのようなものがあったら良いのではないか」ということを常に考えて実行しています。

例えば、先日リリースされた、おむつの交換場所をLINEで確認できるサービスは、今年入社した育児中の男性社員が、福岡で子供と散歩に行くときにおむつの交換場所に困る、という自身の実体験をもとに開発されました。

このように、自分たちの視点で、自分たちの困っていることをベースにサービス開発を行っています。


LINE による「スマートシティ」は、どのようなプロセスを経て作り上げられるのでしょうか。

まず、身近なスマートシティの例としては、月に1度の燃えないごみやペットボトルの回収日をLINEが通知してくれる機能です。

とても小さなことですが、福岡市民ならではの困りごとを解決している機能で、スマートシティの象徴です。スマートシティは「街づくり」という大規模な話なので、 LINE Fukuokaだけでは実現できません。

ですから、様々な企業と連携してプロジェクトを進めています。

例えば、シェアリングエコノミーサービスの一つである「アイカサ」を運営する株式会社Nature Innovation Groupと一緒に、傘をシェアリングするという文化を福岡に広めたり、 ANAホールディングス株式会社と一緒に、LINE で注文・決済した新鮮な海産物をドローンが運んでくる、といったドローンの実証実験を行ったりしています。

最新のテクノロジーを用いて市民の身近な課題に寄り添うプロジェクトを幅広く展開しているのです。

また、スマートシティは世界的にいくつかのカテゴリーに分けられていて、行政手続きや交通、エネルギー、物流などの分野があります。

そのように分類していくと、福岡は、交通の分野では西鉄やJR 九州、エネルギーの分野では九州電力がいて、各分野のプレイヤーがそろっているのです。

しかし、それぞれの分野が連携するのは難しかったので、誰もが使える LINEならば福岡の様々な企業を一気につなぐことができるのではと考えました。

スマートシティは、パートナーの企業も私たちもwin-win になるような形で「共創」することで実現するのです。


Smart City 戦略室がスピーディーにサービスを提供できる理由は何でしょうか。

まず、時間のかかるものはしません。

先ほどの共創パートナーの話を例にとると、動きが速く、意思決定に時間をかけない企業と連携することにしています。

加えて、法律上難しいことなど、ハードルが高すぎるものは基本的にやりません。

今まさに皆さんが困っていることや、今すぐに解決しないといけないことを見定め、その中でできることを優先的に進めていきます。

既に皆さんが利用しているLINEというツールを使って、今困っていることを、今解決するからこそスピーディーなサービス提供ができるのです。

月に一本は新しいニュースを出すようにしているので、毎月楽しみにしていただけると嬉しいです。


最後に、Smart City戦略室の今後の展望を教えてください。

皆さんはシアトルという街をご存じでしょうか。シアトルが日本で有名になったきっかけはおそらくスターバックスで、実は Amazon もシアトルで生まれました。

アメリカの中でも、海岸沿いにあるシアトルという街は、ニューヨークに比べると地方都市ですよね。

そのような街で魅力的な企業が生まれ、一躍その街が有名になっていく。そのストーリーは、実は福岡にも当てはまるのではないかと思っています。

日本の海岸沿いにある街 福岡から魅力的な企業が生まれ、福岡という街が世界的に有名になっていく。

そのようなことを考えた時に、スターバックスや Amazon のようなポジションに、私たちLINE Fukuokaがなれると嬉しいです。

現在は、福岡、日本が主戦場ですが、福岡で取り組んでいることがアジアや世界にもっと知られるようになり、「世界を代表するスマートシティは福岡だよね。

その福岡でスマートシティを主に手がけているのはLINE Fukuokaだよね」という流れで有名になるという野望を抱いています。

そのために、引き続き市民の皆さんが困っていることや街の課題に着目し、地道に一つずつ解決していきたいですね。

その中間的なゴールとして、朝起きてから寝るまでの生活をLINEで完結させる「Life on LINE」を福岡で実現させたいです。

朝起きたら、まずLINE で今日の天気や公共交通機関の時間を調べ、昼にはLINEで事前注文したお弁当を受け取り、雨が降った時にはLINEでアイカサを借り、夜寝る前にはLINEでニュースをチェックする。

福岡の人が、LINEさえあれば生活のあらゆることを完結することができるようにしたいですね。


取材日:2020年4月2日

■NPO法人学生ネットワークWAN とは?

設立17年目を迎える学生主体のNPO。「学生だから~できない」「地方だから~できない」を変えるべく全国 19 地域の情報発信支援や、地域の関係人口をつくるコンテンツ企画運営をしている。


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