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「最新技術で人々を繋ぎ、時代の最前線を走り続ける」-エコー電子工業株式会社 代表取締役社長 柗本淸人氏-【ミライロ仕事図鑑】

ミライロ仕事図鑑は、福岡商工会議所とNPO法人学生ネットワークWANのコラボ企画です。今回のインタビューは、福岡商工会議所NEWS7月号(PDF)に掲載されています。


「最新技術で人々を繋ぎ、時代の最前線を走り続ける」

富士通の代表的なパートナーとして、九州地場 2000 社のお客様へ地域密着型ソリューションを展開しているエコー電子工業株式会社。九州に本社を置く地場のコンピュータシステム販社では販売実績トップを誇り、本社のある福岡を中心に、東京、佐世保、長崎、鳥栖と活動拠点を広げています。

今回は、そんなエコー電子工業株式会社 代表取締役社長の柗本 淸人さんにお話を伺いました。

御社の設立背景について教えてください。

エコー電子工業(株)は、1963 年に長崎県佐世保市で無線機の販売とメンテナンスの会社として創業し、今年で 58 年目に突入しました。

現在では携帯電話やスマートフォンが普及し無線機のお客様の数は減少しましたが、タクシーの無線や市町村防災無線の事業は今でも継続しています。

「エコー電子工業(株)」という社名は、無線機の反射電波、つまりエコーが由来です。

当時特約店として契約を結んでいた、無線機メーカーの神戸工業が富士通と合併し、それがきっかけで富士通のコンピュータを扱うようになり、九州地区では第 1号の富士通ソリューションパートナーとなりました。

オフィスコンピュータの登場やインターネットの普及など、この業界は技術革新が激しいので、それまでに培った技術が全く役に立たなくなることも多くあります。

しかし、そのような変化をキャッチアップし続け、時代の変革や環境の変化に追随していたことで、エコー電子工業は長年続いているのだと思います。


エコー電子工業(株)は具体的にどのような事業を展開されているのでしょうか。

主な事業は 3 つあります。

1つ目は、九州地区の県及び市町村を対象とした防災無線やダム・河川の情報基盤の整備・補修サポートです。

災害が起きた際に、避難勧告をスピーカーで呼びかけたり、無線機を利用して、市役所や消防署のある基地局から遠くにいる住民の方々に避難の連絡をしたりしています。

2つ目は、ソリューション事業です。主に民間のお客様向けに、販売管理や会計などの基幹業務のシステムや、IoT、ビッグデータ、AIなどのデジタルトランスフォーメーションを実現するソリューションの導入・運用サポートを行っています。

3 つ目は環境事業で、中古のパソコンのリユース(再販)事業や、分解した材料の 90%を資源として再利用するリサイクル事業を行っています。

九州にある富士通のリサイクルセンターの運営も弊社が担当しています。


様々な分野で事業を展開されているのですね。各分野の知識やノウハウはどのようにして蓄積しているのでしょうか。

九州地区の富士通パートナーということで、独自のパッケージを持つソフトウェアメーカーが弊社の販売力やサポート力を評価してくださり、「九州地区で自社のソフトウェアを売っていただけませんか」と声をかけていただく機会が増えていきました。

それを機に、新たな業界や業種へのアプローチを開始し、自社で扱う分野が拡大しました。

最初はなかなか知見もないため、開発元であるメーカーにご支援いただきますが、事業に取り組むうちに、弊社のシステムエンジニアが業務内容やパッケージ内容を習得していきます。

その積み重ねによって、多様な業種・業界でお客様を獲得できているのだと思います。

他にも、ソフトバンクの Pepperが出てきた時に、東京支店の若手社員の「エコー電子工業でソフト開発をやりたい」という言葉から開発に着手し、ソフトバンクに提案したところ、我々のソフトウェアを採用いただくことができました。

現在は、Pepperアプリ開発パートナーとして、Pepperを活用したアプリ開発・導入支援を行っています。

この挑戦は、ITや IoT、人工知能などの最新技術の知見を蓄えるきっかけになったと思います。


柗本社長は「人への投資」を大切にされているとのことですが、社内で取り組んでいることはありますか。

エコー電子工業は半年ごとに賞与評価を行い、6月と12月にボーナスが出ます。

「ボーナスの査定=評価」となっており、半年間の計画に対する業績の面と、社会人として必要な部分の成果である業務の面を評価し、その半年ごとの成果が賞与に直結するシステムです。

ある程度のところまでは年収が上がりますが、そこから先は業績が上がらないと給与が上がらないので少しシビアかもしれません。

これに加え、1 年間の評価として上司と部下の間で「自己申告面談」を実施しています。

まず、自身の 1 年間の成果を、10 項目の10 段階評価で振り返り、点数をつけてもらいます。

その後上司と面談し、自分で付けた点数を見ながら「うん、今年は良かったね」「いやいやまだできるよ」などと話す機会を設けています。


あえて自分で評価するシステムにしている理由は 2 つあります。

一つは、自己評価と上司の評価にギャップがあることに気づいてもらうためです。

もう一つは、この面談を通して、来年の自己申告面談に向けた自分の改善点を考え、成長の目標を持ってもらうためです。

評価基準である10項目の内容は様々で、もちろん人によって得意・不得意はあります。

得意なところをさらに伸ばすのか、不得意な部分を改善するのか、自分の長所・短所を見極める機会になっています。


社員一人一人に焦点を当て、しっかりと評価しているのですね。今後のエコー電子工業(株)の展望を教えてください。

50 周年 50 億というのを目標に掲げていましたが、おかげさまでこの目標は達成しました。

次は70 億、100 億を目指すことになりますが、今までの事業の延長だけでこの目標を達成するのは難しいと思います。

今までは富士通のパートナーや、独自のパッケージを持つメーカーのパートナーとして事業を展開してきました。

しかし、今後は少しずつエコー電子工業独自のサービスや商品を作っていきたいと思っています。

特にクラウドを使ったサブスクリプション型のサービスを作り、九州だけではなく全国のお客様に使っていただけるようになるといいですね。

全国規模のお客様も増えてきたので、自社サービスの開発に力を入れたいと思います。


全国展開を目指すエコー電子工業(株)から見た、今後 ICT化を進めていくべき分野はどのようなところでしょうか。

日本全体で考えると、漁業や農業などの一次産業や介護といった、人手不足が深刻化しそうな分野では、 ICTやロボティクスをフル活用して生産性や効率を上げていく必要があると思います。

また、業務の効率化という面でもDXが進むと思います。会社ごとに様々な業務があると思いますが、その中にもまだICT化が進んでおらず人海戦術で行っている作業が多くあるので、それらの業務をいかにしてソフトウェアで自動化していくかが重要になってきます。

さらに、業績を伸ばすための方策として DX 化を進めるニーズも高まると考えられます。

どのようなお客様をターゲットにすべきか、会社として今後どの分野で戦うべきかという戦略をビッグデータやAIを駆使して考え、方針を決定するということも増えていくと思います。

そのようなところを我々がサポートしていきたいですね。


常に時代の最先端を走るエコー電子工業(株)。「人とのつながり」を武器に、これからのデジタルトランスフォーメーション時代でも活躍する企業だと強く感じました。

取材日:6月2日

今月の取材先 エコー電子工業株式会社 とは
業務システムの提案・開発やクルマの組込開発、ITインフラ、スマホ・タブレットアプリ開発、Pepperをはじめとしたロボアプリ開発などを行う。「人とみどりとソリューション」の理念のもと、環境活動にも積極的に取り組み、情報機器の販売からシステム開発、その処分・分別・再利用まで「循環型ソリューションプロバイダー」としての役割を担う。

■NPO法人学生ネットワークWAN とは?

設立17年目を迎える学生主体のNPO。「学生だから~できない」「地方だから~できない」を変えるべく全国 19 地域の情報発信支援や、地域の関係人口をつくるコンテンツ企画運営をしている。


■FMラジオ番組「FUKUOKA2020」とは?

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