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はじまりは「どうせもう来ないんでしょ」

閉店の知らせが届いたのは2018年11月、突然の出来事だった。

宮城県石巻市のボルダリングジム「Sea Monkey-Z(シーモンキーズ)」は、2013年6月にモンキーマジックが全面的にお手伝いしたクライミングジム。ウォールやホールド、マットなどを助成金を活用し設置、開店後も約1年間にわたり地域を巻き込んだ運営指導などもさせてもらってきた。

元々はその前年、2012年8月に東日本大震災被災地復興支援の一環で国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」とモンキーマジックが一緒に、石巻と東松島の子どもたちへ8mの仮設壁でのクライミング体験を3日間届けたことがきっかけだった。

登りに来てくれた子どもたちはやってみたいと列をなし、ある子供は壁を見上げ「8mかぁ、津波って高いんだなぁ。」と言葉にする子もいた。

あっと言う間に時間が過ぎた3日間の最終日の夕方、もっとやりたいとせがむ子供たちに「ごめんね、もう時間で今日は終わりなんだ。また来れるようにがんばるから。」と言うしかない私に、「いいよ、どうせもう来ないんでしょ。」と大人の言葉なんて信じないよ、と言わんばかりの今でも耳から離れないこと場を投げられた。

クライミングを届け、笑顔や自信を届る、目が見えない自分にもできる震災被災地の皆さんに出来ることって何だろうと必死に考え、行動しひとつの形になったものだったけど、全然だめだ、このままじゃいけない、と強く考え悩み始める心にささる言葉だった。クライミングがその地域の皆さんにとって、子供たちにとって本当にいいものなのだったら、たった3日間じゃなく、いつでもクライミングが楽しんでもらえるような場所と機会を提供できるまで地域と向き合わなければならない、と考え、その体験会の間にちょっとだけご挨拶した後のSea monkey-Zオーナーとの出会いがあったことをつなぎ、そして関係を紡ぎ、10か月後の2013年6月には石巻に常設のクライミングジムがオーナーとモンキーマジック双方の思いとして誕生するに至ったのです。夢のような時間でした。

今回このボルダリングジムは本当にいろいろなご事情があり閉店するに至ったとの報告を受け、私どもとしても寂しさいっぱいですがそれはジムのみなさんにとっては比較にならないほど大きなものだったはず。

このような中、2018年12月28日の閉店を前に現地を訪問することができ、モンキーマジックにとっての気持ちの整理がつけられ本当によかった。

さらに ジムのホールドは解体工事に合わせ取り外すと聞き、ならばとクライミング壁を設置した全国6校の盲学校に譲っていただけないかと提案。

2019年1月には北九州、高知、福井、平塚、札幌、帯広の各校に実際にホールドが届けられました。このクライミングのチカラは次の地に引き継がれ視覚障害のある子供たちの自信を育むことになり始めたのです。

あの大地震からもうすぐ8年、時間がずいぶん経ったのだなぁ、と思いを巡らさずにはいられない小雪舞う2018年年の瀬の石巻訪問でした。

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