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支援付き住宅 北海道札幌市の状況(NPO法人コミュニティワーク研究実践センター)

抱樸が初のクラウドファンディングに挑戦した「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」の中心事業「支援付き住宅の全国展開」において、各地で担っていくパートナー団体の一つであり、北海道札幌市を中心に活動するNPO法人コミュニティワーク研究実践センターの湯澤真吾さんにお話しをお伺いしました。


特定非営利活動法人コミュニティワーク研究実践センターの活動

私たちは北海道月形町や岩見沢で生活支援や仕事・居場所とのつながりをつくれる相談支援事業を行ったり、札幌という都市部での生活困窮者支援事業を行政から受託し、住居支援やまちづくり活動支援を行うなど、さまざまな課題を抱えた方を支える事業を行っております。

支援を受ける方は、当団体が行政から支援事業を委託されているもことあり、行政の相談窓口や関係機関、あるいは市のシェルターを通して来られます。誰もがインターネットの扱いに慣れているわけではないので、役所の窓口などから当団体につながることが多いです。シェルターを通して札幌市民となり当団体の支援を受ける方もいますが、元々は支援地域外から来る人がほとんどです。

生活支援付き住宅を始めたのは平成27(2015)年7月からで、当団体で37部屋、そして今回のクラウドファンディングによって新たに10部屋借りることができました。
私たちの団体では、ひと月に1名程度が家具家電付きの生活支援付き住宅に入居していて、現在ではクラウドファンディングで借りられた10部屋のうち、7部屋が埋まっている状況です。

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支援事業を通して見えたコロナ禍の変化

コロナ禍で、生活保護をもらっている人が家を失ってしまうようになりました。
緊急事態宣言が発令されたりと、感染症社会に入った今、ケースワーカーによる対面での支援が少なくなっています。しかし、電話だけのやりとりでは、生活に困っている人はなかなか自分の状況を素直に打ち明けられないことがあります。やはり、対面でのやりとりで気づけることはたくさんありますから、対面での支援が絶たれると、気づいたら手遅れになってしまう人もいるのです。
難しい状況判断が迫られる現在だとは思いますが、私たちはなるべく対面でつながり、実態を確認しながらサポートしていくようにしています。

また、コロナがなかったら相談に来なかっただろう”普通の人”たちの相談が増えています。住まいを失って困っているというより、例えば家賃も収入も、生活保護基準での生活サイズより高くあった家庭の人たちが、コロナ禍でじわじわと時間をかけて生活が立ち行かなくなり、つまづくようになっているのだと思います。
行政は、「困ったら生活保護がある」と簡単に言えても、これまで普通に暮らせていた人たちの生活は、生活保護で賄いきれる生活のサイズとは違います。「とりあえず生活保護がある」「とりあえず生きられるからいいだろう」という話にはなりません。
生活保護では賄えないサイズの家庭に大きな打撃がきているように感じます。

現在は、コロナ禍で就職活動もしづらい状況にあるので、これからの生活の不安も大きい中で過ごしている人がいます。
私たちも、現在は国からの支援も受けているので活動を続けていられますが、そうした支援が途切れた時にどうしたらいいのかという不安もあります。支援が全体的に届きづらくなったり、しづらくなっているのはコロナ禍で起きたことだと思います。

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生活保護だけでは支援が足りない

当事者ではない方からすると、生活保護と一言で片付けられてしまうかもしれませんが、生活が苦しくなった人の課題を整理すると、今すぐにすべてを立ち向かえる課題ばかりではないことがあります。
生活がうまく回せない人には、生活保護という金銭的なサポートだけではなく、その時々でこまめな支援・こまめな見守りを並行し、問題が大きくなる前に介入することも必要となります。生活保護を出すだけが支援の終わりではないと思います。

それに、生活に困っている人は支援を受けるまでに時間がかかることも珍しくありません。もっと困りごとがある人が、正直に「困っています」と言えたらいいのですが、困ったことを隠したり、本当に立ち行かなくなって初めて支援につながることも多いです。
自助努力が足りないと思ってしまう人も多いのかもしれませんが、困っている人がすぐに支援につながることは大事だと思いますから、困った時にすぐに相談に乗れるように、サポートをしています。

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ご寄付下さった皆様へ

今回、クラウドファンディングという民間からの支援をいただいたことによって、これまで行政や自治体の支援とは違って、支援できる人の範囲が広がりました。

公的な事業委託での支援となると、例えばその地域や市民限定の支援事業となるなど、制限がかかってしまうこともありました。しかし、民間からの支援があれば、その制限がなくなり、行政からの支援ではカバーできなかった人たちのことも受け入れることができます。
それが一時的なものではなく、1年経ってもこうして今続けられていることは、本当にありがたいことだと感じています。
支援者の皆様にはとても感謝しています。本当にありがとうございます。


いただきましたサポートはNPO法人抱樸の活動資金にさせていただきます。