マクロ的にみた貧困解決策

こんにちは。
橋本です。

今回は”貧困”をマクロ的に捉えることの難しさと、
貧困の解決策について書きます。


「可能性0%を1%に変えること」
これを団体のミッションにしています。

可能性を広げるために教育や医療、貧困解決の事業に取り組んできました。

貧困の概念に可能性を盛り込んでいるのが、
アジア人で初めてノーベル経済学賞を受賞した
アマルティア・セン教授の「ケイパビリティ・アプローチ」です。

貧困とは単に所得(お金)だけの問題ではなく、
その人のケイパビリティ(潜在能力)が大きく影響しているという考え方です。

栄養状態や病気、自由に動けるか(権利や発言など束縛されていないか)などなどをその人の機能として挙げています。

概念として大いに共感しているのですが、これを統計データ(貧困指数)に落とし込んだ瞬間にポンコツになってしまう。

貧困指数としては平均寿命と教育年数と所得を掛け合わせた
“人間開発指数(HDI)”があります。

ただ所得には教育と寿命に相関関係が存在しているため、
ほぼほぼ所得の統計データと一致しまいます。。


そうなると世界銀行の制定している1.9US$/1日以下で生活している人たちを貧困とする、国際貧困線の方がシンプルで分かりやすいです。

ただこれも数値上の改善だけ考えると、
最貧困の層が置いていかれる可能性があります。

1.9ドル以下の貧困層にも階層があり、カンボジアでも1日1ドルを境に生活環境がかなり変わります。

貧困人口の改善で考えると、1日1ドル以上の生活をしている人たちに向けた施策の方が導入しやすく、改善も容易だからです。


この貧困を図る指標は他にもたくさんありますが、
そもそも途上国の統計データがポンコツである可能性も高いという問題もあります。

——
カンボジアで農村調査している時のある1日

橋本「この村の人口などのデータを過去3年分ください」
村長「どうぞ」
橋本「3年前300世帯人口1000人、2年前150世帯人口500人、昨年300世帯人口1000人。。。2年前この村で何があったのですか?!」
村長「体調悪くて半分しか調査しなかった、てへぺろ」
———

統計データの元がこんな状態です笑

ミャンマーは2015年に31年ぶりに国勢調査をしたら、
それまでの政府の統計よりも人口が800万人も少なかったという例もあります。


貧困をマクロで捉えようとするほど、
解決策が見えてこないように感じています。

では解決策としてはどうすれば良いのか?

「経済成長により必然的に貧困状態も改善される」
と言う説もありますが、これぐらい大雑把な考えの方が合っているでしょう。

中国が良い例ですが、貧困者数はこの20年で劇的に改善されました。

長々と書きましたが、
“マクロとしての貧困の解決は経済成長にあり”
と言う結論です。

うむー、NPOとしてこの結論は怒られそうですね笑

少し補足します。

経済成長によって絶対的貧困は解決していきますが、
入れ替わるように相対的貧困の課題が浮上してきます。

ピケティの言う経済的不平等という大きな課題です。
その解決のために再分配の議論になってくる。

同じ貧困という言葉で語られがちですが、
相対的貧困については、問題の根っこは貧困ではなく”不平等”
だと橋本は捉えています。

NPO法人HERO 橋本

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