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地方自治体における「こどもの意見反映」どう進める?

昨年12月、こども基本法に基づく初の「こども大綱」が決定されました。その中で、すべての子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」を目指していくことが示されました。

今後は、こども大綱を踏まえて自治体こども計画の策定が進められ、国もガイドラインの作成や策定経費の補助などによる支援をしています。

国のガイドラインを受けて、具体的にどのような体制・方法で「こどもの意見反映」を進めていけばよいのか。先行事例に取り組む滋賀県の担当者の方にお話を伺いました。

横断的な推進体制がカギ

滋賀県 健康医療福祉部 子ども・青少年局 大橋雄一さん

滋賀県では、県のこども計画策定に先立ち、今まさに「(仮称)滋賀県子ども基本条例」の検討を進めています。条例の審議は「滋賀県子ども若者審議会」の「条例検討部会」で行い、そこには高校生や大学生も委員として参画し、検討を進めています。

また、こども計画として位置付ける次期「淡海子ども・若者プラン」の策定では、審議会に設置する「子ども・子育て支援」「子ども・若者施策」「社会的養護」「ひとり親家庭支援・子どもの貧困対策等」の4つの分野の検討部会と、それらを横断して子どもの意見反映を担う「子ども真ん中企画検討部会」が連携する体制とし、この「子ども真ん中企画検討部会」には大学生などの若者も参画する予定です。このように、当事者の目線も交えて、条例や計画への子どもの意見反映を推進していきます。

また、並行して、子どもからの意見聴取について子ども・若者にWEBアンケートを実施し、子どもが意見を表明しやすい方法について意見を聴きました。1万1千人以上から回答をいただいており、今後、その結果を踏まえて方法や仕組みを検討し、条例やこども計画の策定等へ反映していく予定です。
その他、子どもが意見を述べ県政へ参画する仕組みとして「子ども県議会」を実施するなど、子どもと共につくる県政に取り組んでいます。

国の支援を活用して意見聴取のノウハウを取得

近江八幡市子育て支援課 北川雄貴さん

近江八幡市では、こども家庭庁「こども・若者意見反映サポート事業」を活用し、ファシリテーターの派遣を受けて、放課後児童クラブに通う子ども達へワークショップによる意見聴取を実施しました。テーマは「自分達の居場所をより良くするためにどうするべきか」
 
意見聴取では、1グループあたり2〜6人の子どもに対してファシリテーター、板書係、書記の大人3人を配置。8グループで計37人の子どもが参加しました。子どもが話しやすい雰囲気をつくるために、大人はカジュアルな服装で参加し、最初にゲームなどで丁寧にアイスブレイクを行い、参加者同士はお互いにニックネームで呼び合うなどの工夫をしました。さらに、「はい、いいえ」で答えやすい質問から始まり、子どもの返答を受けて徐々に掘り下げていくなど、聴き方についても様々な工夫があることを学びました。
 
子どもの声には、「遊びの時間を増やしてほしい」「その日のスケジュールを自分たちで決めたい」など過ごし方に対するもの、備品や施設設備の充実を求めるものが多くありました。また、支援員についての意見も多く、なかには、大人の思いと子どもの求めていることの間にズレがあるケースも見えてきました。これらの意見を整理し、運営や市の施策へどう反映するか、子どもにどうフィードバックするかについて検討を進めていきます。


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