【NPO法人ユニーク 定例イベント】なくそう!児童虐待 「子育て支援」から「そだちのシェアへ」 ~親の自己責任からの転換~を開催しました。

ユニーク活動報告
【日時】:2024年5月29日(水) 20:00~21:30
【会場】:オンライン開催 (ZOOM)
【NPO法人ユニーク 定例イベント】なくそう!児童虐待 「子育て支援」から「そだちのシェアへ」 ~親の自己責任からの転換~
特別講演 早川悟司氏

児童養護施設「子供の家」の運営のほか、「そだちののシェアステーション・つぼみ」を2022年4月に開所、児童福祉業界の異端児?早川悟司先生に講演していただきました。

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冒頭から「”児童虐待”という言葉をなくしたい」とおっしゃる早川氏。
「なくそう!児童虐待」をかかげているユニークとしてはびっくり。

その理由を虐待相談(身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待)件数の推移表を見せていただきながらマスメディアや政治の報道から一般に考えられている虐待というイメージではなく早川氏が経験してきた虐待の実態を説明してくださいます。

出典:厚生労働省HP

出生数、合計特殊出生率の推移の表のところでは第二次ベビーブーム(1971年から1974年)で生まれた世代が親になる2000年前後第三次ベビーブームが期待され、わずかながら出生率が伸びかけたころ「児童虐待防止法」の成立で子育てのパラダイムが変わったとおっしゃいます。

児童虐待を発見した場合、市町村や福祉事務所、児童相談所へ通告しなければならないという法律で虐待の相談件数が増え、親たちはますます子育ての孤立を迫られたのではないだろうかと推測されます。

子育てを地域が支援するのではなく、子育てを監視する世の中になったということでしょうか?
その後ゆるやかな下降を見せる出生率ですが2018年ガクっと出生率の低下がおきます。

記憶に新しい目黒幼児虐待死事件。マスコミの報道の加熱により実態からはかけはなれた「児童虐待」の言葉が一人歩きを始めます。

早川氏によると「児童虐待死数」の中でかなりの数を占める子供の年齢は「0歳、0日、0カ月」だそうです。これは何を意味しているのでしょうか?
妊娠した女性が父親となるはずの男性にも自分の親にも誰にも相談出来ず、孤独に一人で出産した結果が、子供を死に追いやった虐待死だと数えられるのだそうです。
こうしたことを背景に親になることを避ける若者が増え、少子化に拍車がかかっている一因のようだと早川氏は指摘されます。

次に児童養護施設に児童の家庭背景や児童が受けた虐待の表をみせていただきながら話がすすみます。

その中で早川氏が強く憂慮されていることが「女性(母親)の貧困」です。
離婚による母子家庭では父親から養育支払を受けているのはわずかに28.5%
そのため9割の母親が就業していますが平均年収は254万円。
生活保護受給率は1割。児童手当も厳しい所得制限があります。
母子家庭や生活保護家庭に対する社会的な偏見も垣間見えます。
早川氏は経済的ネットワークが機能していないことが原因で、1日も早い改正が必要だと言われています。

早川氏が実際に見た母子家庭の一例では
貧困ゆえに母親は昼間の仕事を終え、家に帰り子供にご飯を食べさせお風呂に入れ寝かしつけてまた夜の仕事に出かけます。夜中に目を覚ました子供が母親のいない事に気づき外へ出てお母さんを探して歩きます。

昭和の時代ならご近所さんが事情を知って保護することもあったのですが、今の時代は児童虐待で通報され児童相談所に預けられることになります。

早川氏は「児童虐待」の捉え直しをして欲しいと訴えます。
社会的養護の背景は今は
・家庭で何らかの虐待を受けたとされる児童が大半。
・保護者の状況は「単親」「低学歴」「低所得」に加え「社会的孤立が特徴
ではなく
・必要なのは親への非難ではなく、分離前からの肯定的注目と支援!!
・「児童虐待」は親や特定の個人の問題ではなく社会の問題
・三つの柱(家庭・学校・地域)の尊重
と一人でも多くの人に捉えなおしていただきたいと訴えられます。

その思いのもと「そだちのシェア・ステーションつぼみ」を開設されました。
ぜひHPをご覧いただいて新しい児童養護施設のあり方を知っていただきたいと思います。

ユニークのメンバーも早川氏の熱い思いに触れ、より一層「子供たちが生まれて来てよかった」と思える世界の実現のために頑張って参りたいと思います。

ご参加くださった皆様ありがとうございました。
文責:貴田

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