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カリキュラム化プロジェクト開催報告!@東北文化学園大学

3月28日~4月1日にカリキュラム化プロジェクトを東北文化学園大学にて実施しました!

本記事はその開催報告です。
(当日の様子は公式Twitter,InstagramにUPしております。今後も更新していきますのでぜひご覧ください。)

5日間の講義を通して学生は何を学び、どのように成長したのでしょうか?

1日目 地域で暮らすってどんなこと?

地域で重度の身体障がいを持つ当事者が生活するとはどういうことなのか、当事者であり講師の3名の生活と、地域で働く医療者の実体験をもとに紹介しました。

医療的ケアについては岡部さんに近づいて実際に見学です。学生さんは、人工呼吸器、吸引、アンビューバッグ、胃ろうからの栄養剤注入、、初めて見る処置に緊張した様子でした。


「自分の人生」を生きるのにもっとも核になるのは「人」
ヘルパーさんもだけど大家さんもスロープを作る人も、医療者も、行政の人、支えている地域全体の人が連携して暮らしを作っている。

こちらは1日目の最後を締めくくるメッセージです。
当団体のテーマである「介助者がいれば自分らしく生きられる」をより具体的に学べたのではないでしょうか?

OriHime(左端)も見守ってます。


「障がいについて身近になった。おじさんが植物状態で天井を見ている。帰省した時に会って話をしたいなと思いました。」
「介助するのは大変だと思った、大変なこともあるけど、それだけ一緒に楽しんで欲しいとかそういう共有もあるんだなと思った。」

学生の感想

2日目 介助の視点で覗いてみよう!

2日目は重度の身体障がいを持つ当事者の生活を支える介助者について取り上げます。「その人らしく生きる」を支える介助者の視点、また、医療者として当事者にどのように関わるか、そのスタンスを伝えました。


講師より「介助の経験年数や年齢よりも相手のことを思えるかで介助の質は決まるのでは?」という質問が投げかけられました。
岡部「受ける立場としては経験年数より向き合い方が大事だと思っています。ベテランの方は思い込みや決めつけが多い人がたくさんいます。」


様子を伺い観察し、また思い込みをせず想像すること!

医療職者として働くうえでも大事な視点を介助者の方の実践から知ることができました。

「患者さんを観察すること、不思議なことを考えることが大切」
「講義を受ける前は思い込みとかがあったけど、見学の時は思い込みなしに当事者の方のところに行くので、本気になって向き合いたい」

学生の感想

3日目、4日目 リアルを知ろう!

今回のカリキュラムでは、コミュニケーション体験と当事者宅での見学体験をそれぞれ一日ずつ実施しました。

コミュニケーション体験

重度身体障がい者は、発声や文字、ジェスチャーといった一般的なコミュニケーションができない人もいます。本講義では、透明文字盤や口文字といった人を介した特殊なコミュニケーション方法や、意思伝達装置や視線入力といった特殊な機器を用いたコミュニケーションについて紹介し、実際に体験してもらいました。

文字盤体験
意思伝達装置を使用して手元のボタンのみで文章を作成しています


「はじめて知ることばかりでびっくりした。」
「初日岡部さんとやった時は難しくて、でも講義をうけて、コツを掴むことができて楽しくて面白かったです。」

学生の感想

映画「風は生きよという」視聴&ディスカッション

コミュニケーション体験に続いて、当団体の理事を務めていた海老原宏美主演の映画「風は生きよという」を視聴し、ディスカッションをしました。
地域で暮らす当事者の様々な生活を映像を通して学びます。

「障がいがあってもなくても暮らしってそこにあると感じてなんかあったかい気持ちになりました」

学生の感想

見学体験

本カリキュラム一番の醍醐味ともいえる、当事者宅での見学・体験です。
訪問前にはそれぞれ当事者の方へ質問したいことを考え、また、当事者の皆様には学生に取り組んで欲しいmissionを考えていただきました。
※見学体験の様子はSNSにてまとめてお伝えする予定ですので、そちらをご覧になってください。


5日目 「障がい」について考えよう

最終日は「障がいは社会が作っている」障がいの社会モデルという新たな視点を学びます。

すべての講義、体験を通して得た気付きを他の学生と話し合い「障がいって何?」についての当たり前の見方を変えて、考えを深めます。

以下は最後の発表会での学生の言葉です。

見学体験を通して、重度障がいでコミュニケーションの方法も違うけど、ヘルパーがついて、障がい者と言われていても普通に生活して社会参加しているというのがわかった。
でも、本屋の上の本が取れないとか介助者がいないとどうにもできないことが障がいだった。都市の中心に行けばバリアフリーになっているところは多いけど、外に行くとそうなっていないこともある。
自分たちが生き辛いと感じたことは、男子の遊びが好きでも女の子らしくしてと言われたり、いじめもそういう風潮や偏見や固定概念が障がいになるんじゃないか。障がいについて一緒に考えられる社会にしたい。
障がいって、他人や社会の捉え方の問題。捉え方を変えられる介入が必要で、まずは知識を持つのが大切。今回、他学科の視点も聞けたのが良い経験になった。別の職業の視点も取り入れられると、対象とする人への対応も変わっていくのではないか。

障がい者を定義すること自体が失礼。当事者宅にお邪魔して、ヘルパーとの連携を通して様々な工夫があって、普通に生き生き生活していて障がいのイメージが変わった。一方で介助時間不足や移動の制限等、生活の中の問題や不自由さの実態を学ぶことができた。
障がいは、環境、整備不足、周囲の人の知識不足、行政の制度の問題が当事者の生き辛さになって壁になっていた。
私たち自身の生き辛さの話も出たけど、いろんな学校生活の中でも友人と話している中でも、ついていけないとか、自分の知らないことを話していて疎外感を感じている。そういった壁は誰にでも感じることがある。
障害を越えていく上で、どういったことができるか、講義を通して知識を得られたので、それを友人との会話に取り入れたり、声を上げて周知していくことができる。

障がいは個人がもっているものでなくて、社会が障がいを起こしている。目が見えないからメガネをつけていてもその人を障がい者とは言えない。社会の在り方だって、人工呼吸器や車いすの人も同じことが言えて、呼吸ができないから呼吸器で呼吸をしている、歩けないから車椅子を使っている。そこに差別は存在しない。呼吸器や車いすを使っている人を障がい者と決めつける社会は当たり前ではない。
障がいのある人と出会える社会、良い出会いがあれば障害に対するイメージも良いものになる。実習の時に当事者の人の趣味を聞いて、生き生きと語ってくれたけど、その人らしさみたいなのを知られると嬉しい、という話になって、利用者や患者さんという関係性から一歩先に行くと楽しい。反対に、日々ケアを受ける中でそういう支援者がいると嬉しいという話があった。

参加する前に考えていた障害は、目標を達成する上での壁と書いていた。文字盤とか、コミュニケーションの方法はいろいろ。見学に行った人は自分でスプーンを使っていて腕を持ち上げられないところだけをヘルパーが手伝っていた。何かをする上での壁というよりは段差、ないわけではないけど工夫次第で乗り越えられる。ボランティアや学生ヘルパーの話をしていた、ちょっと良いなと思った。
自分らしい生活ができない人が多いのかなと思ったけど、当事者らしい主軸とした生活が送れていることに気付いた。周りの人が当事者の要望を聞いたりとか情報共有をして生活を支えていたことに気付いた。障害は当事者でなくて環境に障害があるものだと思ったので、学生の時からそういう経験、知識をつけたうえで、環境を変えたら当事者も生活できるということを周りに伝えていきたい。
1日目の障害とはは大変そうというのが強かった。考えはまとまっていないけど、障がい者は考える力がないと考えられがちで、人によって生活に求める物だったり目標も違うから、聞く姿勢、耳を傾けることが大事。障がい者にとって制度は死活問題。全体として障がい者が主体となっていると変わらないからこそ、マジョリティ側が向き合って、変化を仕掛ける。及川さんは優しいおじさんというのを知らないだけ。当事者が大学とかマジョリティ側に飛び込んで欲しい。前例主義で前例がないと進まない現状を変えていく必要がある。自分たちが学生のうちにできること、資格もないけど、こういう機会は貴重なので参加して、障がいについてなんだろうなって考え続けて、関わり続けることが大事。
夏にもあるらしいので友達を50人ぐらい連れていきたい!

5日間のカリキュラムを通じでどの学生もとても学びが深く、また自分たちがこれから何をしていったら良いのかまで具体的に考えられていたことが印象的でした。

これから医療者として様々な場所で活躍する皆さんが、今回の講義での学びや経験を生かしていってもらえると何よりです。

最後に

講義後、学生ヘルパーに興味があるという学生から声がかかりました!
早速行動を起こしてくれた皆さん、とても嬉しいです!

年度の切り替えという忙しい時期にご協力くださった学生の皆様、先生方、そして、当事者の皆様、介助者の皆様に感謝申し上げます。