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コラム「境を越えた瞬間」2023年11月号-新倉愛美さん‐

プロフィール

プロフィール

新倉 愛美 (にいくら あいみ)

  • 理学療法学科4年

  • 学生ヘルパー

専門学校1年の冬に学生ヘルパーを始め、週1~2回の頻度で介助に入っている。


利用者さんのご自宅でクリスマス会。写真右上が新倉さん(2022年撮影)


「大きな一歩を踏み出すとき」


私は小学1年のときからソフトボールに打ち込んでいた。
中学も高校もソフトボールができる環境だけを考え、入学した。
現在通っている専門学校もソフトボールをしていたことがきっかけ。
今の自分があるのはソフトボールをしてきた過去があるから。

しかし、専門学校に入学し、苦手な勉強の毎日に将来が不安になることも少なくなかった。

今思うと、そんな私が学生ヘルパーになることを決めたことは、大きな一歩であった。


専門学校に入学し、アルバイトを始めようと悩んでいた。

始めるのなら将来に繋がるアルバイトをしたいと考えていたとき、講義で学生ヘルパーの存在を知った。
講義の傾聴した際に、私が最初に感じたことは「難しそう」、「私にできるのかな?」という感情であった。
しかし、将来に繋がるようなアルバイトをしたいと考えていたことから、学生ヘルパーに興味を持ったのだ。

実際に先輩の学生ヘルパーがALSの方と接している姿を拝見し、やはり「私にできるのかな?」という感情になった。

一方で、文字盤でコミュニケーションを取る2人に心を動かされた。そして、それは「私も何かALSの方の役に立ちたい」という感情に変化していったのだ

元々、自分の意思を発信することが苦手だった私。だからこそ、文字盤でコミュニケーションを取る2人に感じるものがあったのだろう。


私が境を越えたきっかけは、決して大きいものではないと思う。
ALSの専門的な知識があったわけでもない。
しかし、あのときの感情の変化が私の大きな一歩であり、境を越えた瞬間であった。
そして、実際に学生ヘルパーとしてALSの方と関わる今も感情は少しずつ変化していると感じる。


私が学生ヘルパーの経験を通して学んだこと、コミュニケーションの手段は工夫すれば、いくつもあると思うようになった。
だからこそ、
「相手の気持ちを理解しようとすること」
「自分の意思を伝えること」
は、人と関わる上で大切なことだと改めて感じた。
そして、学生ヘルパーとして学んだことは、これからも大切にしていこうと思っている。
 
学生ヘルパーとして関わることは簡単なことではない。
しかし、自分の意思次第で成長できるのではないだろうか。
まずは、一歩踏み出すこと勇気が大切だと思っている。


利用者さんのポジショニングを学生ヘルパー同士で共有。


境は至るところにあります。目に見える境もあれば目に見えない境もあります。境がないと壊れてしまうものもあれば、境があるから困ってしまうことがあるのかもしれません。
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