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「分析総合」算数指導

「算数指導を考える」

昨日は、文章問題の分析で、加法までお伝えしました。さて今日は減法、引き算です。減法の文章問題には足し算以上に様々な要素が加わっており、子ども達が文章問題に苦手意識を持つ一番大きな要因となっています。保護者の方から引き算の文章問題に関する質問が多いことからでも、子ども達がかなり苦戦していることがわかります。引き算の文章問題の基本は残りを求める問題で「求残」と呼ばれる問題です。「残る」この言葉の持つイメージや、実際の体験が文章問題を解くための大きなヒントになります。続いて、差を求める問題「求差」があります。男の子と女の子の人数の差を求めるなどが一般的です。ところが、「差」という意味が理解出来ません。これも最近の傾向です。言葉の意味を理解していない子のパーセントは上がっています。ここで幼児算数を学んできた子どもと大きな違い(ただし、言語・数・知覚の3領域をしっかり指導している幼児教室に限る)が出てきます。一対一対応という指導を学び、数の違いを求める時に有効なこの方法が引き算で役に立ちます。この求差の問題は、「どちらがどれだけ多い」という、答える際に言葉の説明がはいる問題へと難易度を増していきます。これは、「どちらがどれだけ少ない」と変化もします。この問題は小学1年生後半から2年生に出てきます。

減法の文章問題は、更に複雑化していきます。「求補」と言って、補数を求める問題があります。この中に、文章は足し算のように書かれていて、求めるときは引き算でという難解な文章問題があります。ここで試されるのが、文章の読解力と思考力です。「リンゴがいくつかあります。おとなりから5こもらったので全部でりんごは10こになりました。最初に何個ありましたか。このブログで何度か登場してきた問題です。そのまま式に表すと □+5=10となり、今までの問題と大きく異なることがお解りでしょう。「タイル算数」で出てくる、10の補数で、隠れているタイルを求める問題がありますが、こうした問題というより数遊びを数多く行うことが大切です。子ども達の中には、「答えはわかるけど式がわからない」という子がいます。このような子は、式、つまり答えを導く為の抽象的な思考が育っていない事を意味しています。また、5+5=10・5-10=5という式を出す子も珍しくありません。もう一歩なのですが、それをタイルという具体物で示し考えさせる事が重要だと思います。

計算、文章問題の指導には段階、そして指導順序があります。これらを系統性といいます。幼児算数で養った数の量的概念、それらは、時を経て活かされます。それも、思考力という力を加えて。文章問題指導でよく数字にマーカーやラインを引かせますが、やはり重要ななことは、読みの徹底だと思います。子ども達の殆どは、文章問題の全体をしっかり読んでいません。読み切る癖を付けていないからです。問題では、答えを複数求める場合もあります。例えば、「どちらがどれだけ多いですか」などは、数字と命数だけの答えでは○はもらえません。最後まで読み切ること、何を求めている問題か常に読み取る癖を付けておくべきです。最近、問題文をしっかり読まない子ども達が増えています。自分勝手な解釈で答えを書く子どもの増加は、読む事への軽視が原因でしょう。それは、そのまま計算問題まで影響を与えます。「読まない」「見ていない」「書いてない」「聞いていない」この4つの「ない」が消えると子ども達の学力はもっと上がるでしょう。

計算問題の次なる展開は、素過程の学習から、複合過程へと進んでいきます。つまり、1桁から2桁、3桁の計算になります。ただ、文章問題の中では、連続加法、連続減法の考え方が出てきます。連続加法(連加法)は掛け算へ、連続減法(連減法)は割り算へと導かれます。このように基礎学習を分析していくと、次の学年で学ぶ学習の基礎が至るところで出てくることがわかります。それは、同時に幼児期の数学習の重要性も示しています。幼児期だからこそ、じっくり数学習という抽象化への道を歩むことができるのです。幼児期何もせず過ごすことは大変勿体ないことです。小学生になってからでは遅いのです。

2014/3/24


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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