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命の教育「望まれる命」と「望まれない命」

「新たな性教育として、命の教育を!」

児童相談所の調査から、過去5年間の調査から全国で871人の子どもの遺棄・置き去りがあったという。その後彼らは施設で育てられることになる。中には、寒い季節に置き去りにされたことにより低体温症などで命に関わることもあるという。原因はその殆どが「望まない命」であるという。誰の子どもか解らないというケースは多い。子どもを育てる自信もお金もなく、捨て犬同様に我が子を遺棄・置き去りする。以前、ドラマで問題になった現実がここにある。「望まない命」は、子ども側からすれば「望まれない命」となり、この世に生を受けた意味を否定されたようで、彼らの心に受ける傷の深さは計り知れない。古い考えかも知れないが、子を授かると言うことは、男女の「愛の証」という言い方がされていた。正に新しい命とは、「神仏などから貴重なものを与えられる」という意味として使われていた。

 私は、新しい命の誕生に関し、様々な体験を味わっている。小学生の頃、家族ぐるみのお付き合いをしていた近所のお姉さんが、お産で亡くなった。母親の命日が自分の誕生日となった。この時生まれたN子ちゃんを私の両親は殊の外可愛がった。私もよく遊んであげた。同じ体験を、親戚でもう一度味わうことになる。自分自身、我が長男の誕生の時に「命の重さ」を突きつけられた。出産時、妻子とも命の境を彷徨った。二人とも奇跡的に助かったが、その後我が子のため、夫婦で出ない母乳を必死で搾った。その母乳を自転車で届ける際、飛び出してきた自動車と接触し転倒してしまった。それでも必死で病院まで届けたが、保冷バッグの中には割れた瓶が…。その場で、長男や妻に申し訳ない気持ちと情けなさで男泣きしてしまった。その時にいた看護婦さんの温かいことばを今も思い出す。

 女性の卵子は、誕生後の原始卵胞数でおよそ200万個を卵巣に有しているという。その後、思秋期にかけて20~30万個まで減少する。原始卵胞が成長する過程で命となる為の試練が待っているのだろう。私は、常々、保護者にも、先生方にも、そして生徒達にも命とは「選ばれたもの」として伝えてきた。200万個の中から選ばれた卵子、そして1回の射精で1億~3億の精子が放出されるが、その中のたった1つの精子と卵子が結びつき誕生する命。一人の生命の誕生は奇跡であり、この世に生まれる為選ばれた命だと思う。次第に時代は変化し物事の価値観も変化してきた。男女の交際も実にオープンになってきた。小学生や幼稚園児でも「告る」ということばを平然と言う時代が来た。昨今の「ことばの軽さ」は人の行動の軽さにも繋がっているのだろう。世界に目を向ければ、相変わらず武器を持って持論を主張し、多くの命が奪われている。武器では人は幸せにならない。我が国でも愛国心を煽る傾向がある。よく政治家は、国を故郷に例えるが、思い浮かぶ故郷に武器はない。

 話しはそれたが、改めて「生命の尊厳」を考え直す時期に来たようだ。「生命誕生」から「生命の尊厳」こそまず子ども達が学ぶべき事ではないだろうか。汎心性という話しをしたことがある。ある子どもが作った「落ち葉がね、車にひかれてかわいそう」という俳句がある。幼児期に誰もが持っているこの心を私たちは忘れてはいけない。

2014/8/17


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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