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脳科学から学ぶ

「脳に悪い習慣」

私たち人間は、他の動物とは違い未熟な状態でこの世に出てきます。話すことも、見ることも、あることも出来ません。誕生後、産声が自発呼吸のスイッチを入れます。産声を発することで横隔膜が押し上げられ肺呼吸が始まります。そして、ここから脳が、その本能を活か成長を開始するのです。脳の本能とは、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」(脳神経外科 林成之先生)の3つがあると言われています。

赤ちゃんは生きたいという本能から、泣いて授乳を訴えます。感覚器官も徐々に発達し、おむつが汚れると、気持ちが悪くなり泣いて訴えます。近年紙おむつが当たり前となっていますが、布おむつは、赤ちゃんの感覚と、初期の意識を伝えるという意思伝達には適したものと言えます。最近では、布おむつの質感を加えたおむつが登場しています。便利な世の中なのですが、赤ちゃんの発達に適しているかは疑問の残るところです。

赤ちゃんは、聴覚においては、他の機関より発達しているようです。お母さんやお父さんの声を聞き分けます。ことばの習得は、お母さんの声を聞き分けるところから始まります。母国語の吸収は、まさに「知りたい」という赤ちゃんの、人間としての本能なのでしょう。ことばを覚えてくると、行動範囲が広がってきます。赤ちゃんは知的好奇心の塊です。あらゆるものに興味関心を持つようになります。これが知能の発達へと導かれていきます。そこには、人間の持つ「知りたい」という本能が現れています。ここで、私たちはもう一度原点に戻って考える必要が出てきます。「興味関心」は幼い頃ほど旺盛ではなかったでしょうか。ところが、年を重ねる毎に、本能とは別に意志が働いてきます。好き嫌いという意志です。「興味がない」、よく聞くことばです。このことばの意味するところは何でしょう。

「興味がない」「関心がない」、これこそ脳の本能に逆らう悪しき習慣となっていきます。多くの情報の中から、選別され削除されるものはに何が入っているか、それが学習であったならどうなるでしょう。そこに至るまでには嫌いになるきっかけが必ずあります。興味関心がなく、更に嫌いであると、脳は、その入り口で選別してしまいます。必要ないと判断されると、その情報は脳の深部まで入っていきません。子ども達のモチベーションを上げるという行為とは、脳が最初に必要なしと判断する前に、自分にとって必要なことだと選択させることなのです。だから、幼児期の指導で重要なことは、物事に対する興味関心を高めてあげることなのです。食事も同じです。好き嫌いのないよう、素材の味を活かしてあげることです。

人間には元々「知りたい」という本能があります。脳の機能を活かすには、脳の持つ本能を上手に使うことです。脳にとって、最も悪い習慣とは「好き嫌いの激しさ」「興味関心」のなさです。どこか思い当たるものはないですか。

2013/8/5


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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