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ナイトハイクと恐怖体験?

「幽霊に遭遇?」

今日は、いつもとは違うお話しをします。私は独立する前、故水野茂一先生の所で子ども達を指導していました。夏や冬は、小学生200名近くを引き連れ、サマースクール・ウインタースクールを実施していました。ウインタースクールは、毎年クリスマスの日に出発し、文字通りホワイトクリスマスを実感します。私は、こうした子ども達と行く合宿が大好きで、様々な場を盛り上げるためのBGMを録音し、合宿に持ち込みました。

そんな中、サマースクールなどでは、キャンプファイヤーや花火で盛り上がるのですが、もう一つ、「ナイトハイク」というものがあります。サマースクールの開催地は、高原だったり、山の中腹であったり、湖の近くなど、自然を感じる事の出来る場所を選定します。さて、ナイトハイクですが、これは、特別な仕掛けも、BGMも必要ありません。私達のナイトハイクはまさに正統的なものでした。懐中電灯はそれぞれの班で持参しますが、基本的に使用は禁止です。「肝試し」ではなく、夜でしか体感できない経験を積んで貰うのが、このナイトハイクの主旨ですから、子ども達を怪談話で怖がらせたり、また、お化けの格好をして怖がらせることは一切しません。

予め下見したナイトハイクのコースには、解りやすいように目印を立てておきます。事前に、先生二人で下見をしました。それも、夜に行います。コースを下見している途中でお墓を発見しました。そして、私達は足が竦んでしまったのです。なんと、墓石の上にオレンジ色の明かりが浮かんでいたからです。正直、「出た!」と思いました。恐る恐る近づくにつれ、その正体がわかってきました。私達とお墓を結ぶ対角線上にあった民家のあかりだったのです。こうして無事下見も終わり、いよいよ子ども達の出番です。懐中電灯の明かりを消して森の中を歩き始めます。すると、次第に目が暗闇になれてきて、月の光に照れされた夜の森がぼんやり見えてきました。そこで便りになるのが「耳」であることに気付かされます。ナイトハイクは、今まで眠っていた五感が驚くほど鋭く反応するのです。耳を澄ますと、虫の声、鳥の声、木々の葉っぱが風でこすれる音、近くに流れている小川のせせらぎ、昼間なら聞き逃してしまいそうな様々な音が聞こえてきます。

視界の開けた所からは、まるで宝石のような輝きの星が空いっぱい広がっています。天の川を中心に夏の大三角形「こと座」「わし座」「はくちょう座」などが見えます。子ども達からは「すごい!」と一言、その後は首が痛くなるほど星空を眺めています。臭いもあります。「水の臭い」「木の匂い」「草の臭い」、目が慣れているのと、何故か、何かに包まれている感覚から、闇の怖さを忘れてしまいます。そして、童謡や唱歌などを歌います。身体全体で感じる自然。夜という環境でなければ味わえない体感は、子ども達の貴重な経験となります。

宿舎に着き、温かい飲み物を飲み、ナイトハイクの思い出を日記に書いて貰います。実際に経験したことは文や絵に表しやすいのでしょう。忘れないようにと必死に描き始めます。子ども達は、あまり経験したことのない体験で興奮したのか、就寝時間を過ぎてもなかなか寝付けないようでした。私達は、ペアで、夜の宿舎を見回りに行きます。12時になり、定期の見回りに出ました。1階を見てから2階に行く階段を上がりきったとき、「こら!」と反対側の階段から先生達の声が聞こえてきました。暫くすると、パジャマ姿の子どもが走って来ます。その後ドタドタ音を出しながら2人の先生が追っかけてきます。すると、子どもはトイレにスーッと入っていきました。時間も時間ですから、走るのを止め、ゆっくり歩きながらトイレ行き中に入ると、どこにも子どもの姿が見当たりません。窓はあるのですが、窓の下は崖で大人でさえ降りることは出来ません。それより、鍵がかかっているのであけられません。子どもはどこへいったのか?

大人4人がはっきりと見ていたのに、子どもの姿はとうとう見つかりませんでした。私達は、スッキリしない気持で、先生方の詰めている部屋に戻り、管理人の方に報告しました。すると、管理人の方は、「また出ましたか」と涼しげな顔で言いました。当然ですが、そのことばを聞いた私達4人は顔面蒼白になりました。

私達が見た子どものことについて、その後管理人さんから詳しく話しを聞きました。なるほど、そういう事もあるのかという話しでした。小学生の子ども達が数多く集まると、決まって出てくるそうです。世の中には不思議なことがあるものだと感じた夜でした。

2014/7/9


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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