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学習方法の変化を!

「学習の作業化」

学力新時代を向かえ、子ども達には今まで以上に考える力である「思考力」が求められています。しかし、ご存じの通り、単純に思考力を高めると言ってもその指導は難しく、具体的にどのように思考力を高めれば良いかが求められています。指導者側も、短絡的な指導が目立ち始めており、「考えなさい」を連呼したところで、それが思考力に繋がるわけもなく、子ども達も苦しむばかりです。

学習は、小学1年生から始まる訳ではなく、幼児から学ぶことの基本が行われていることは周知の通りです。幼児教育を小学校入学前の予備校と捉えている方もいますが、それは大きな間違いです。この時期に、年齢に則した学習環境を整えてあげるということは、成長期の子どもの身体に栄養が必要であることと同じで、むしろ当然のことなのではないでしょうか。子ども達の学習は、旺盛な好奇心から始まります。また、疑問から始まります。積極的な子どもは比較的好奇心が強く、温和しい子は疑問を持つことで自分達の学習形態を整えて行きます。子どもには、それぞれに学ぶと言う姿勢は違うものの、「知りたい」という人間の知的本能を持ち合わせています。

好奇心や疑問は、思考力の基本である「何故」」「どうして」ということばで表されます。この疑問を具体的に説明してもなお新しい疑問が沸いてきます。「疑問の連鎖」です。この過程で「語彙数」が増えていきます。好奇心や疑問は語彙数を大いに高めてくれるのです。しかし、子ども達の疑問は果てしなく、一々つき合ってはいられないほどに膨らむこともあり、それは、決して珍しいことではありません。では、子ども達の疑問をほったらかしにしておいて良いのか、ということになります。時には逆に質問をしたり、投げかけたりします。「あなたはどう思う?」など、ここからことばのキャッチボールが始まり、子どもにも一緒に考えさせることを学ばせます。全てを親が答えなくても良いのです。また、年齢が高くなるにつれ、自分で調べることを指導します。本や図鑑、そして図書館の登場です。時には外に連れ出し、実際に見たり触れたりします。この体験を日記にまとめたり、文で残します。

具体的な例を示しても、やはり親の苦労は絶えません。その為に古くは寺子屋という民間の学ぶ場所があったのです。親でも知らないことは山ほどあります。たとえ知っていても、それを上手に伝えることは難しいでしょう。幼児教室は、現代のの寺子屋です。

子ども達の知的好奇心を満足させる幼児教室や小学生教室は、学習へのアプローチが違います。知的好奇心に対する2つのアプローチを持っています。一つは好奇心を与えるものです。それが、一見年齢に則していないカード学習です。もう一つは、好奇心を引き出すものです。保護者の方々が持つ低年齢指導の違和感は、この好奇心の扱い方にあると思います。それまで経験してきたお仕着せの学習は決して低年齢向きではありません。むしろ否定の立場を取ります。また、作業的な学習にも違和感をお持ちではないでしょうか。

楽しく学ぶのではなく、ただひたすらプリントに向かう。これが学習の全てだとしたら、あまりにも機械的で人間味を感じません。作業的学習の全てを否定するつもりはありませんがこれが全てではありません。実は、家庭で一番与えやすい学習が、計算であり漢字学習です。どちらも大切な学習なのにその扱い方は軽く、思考を必要としない扱い方がされています。漢字学習でも、計算でも楽しく、そして思考必要とする学習の仕方があるのではないでしょうか。

2013/3/4


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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