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墓参り

「お彼岸」

今日は朝から家族で墓参りに出かけた。子どもの頃は両親に連れられ、家庭を持ってからは子ども達を連れて。そして、今年も秋の彼岸がやってきた。

今回の墓参りは今までは違う。数年前まで、母と共に訪れ父の墓にお参りをした。今年は、その墓の中に母がいる。手を合わせると、今までは「おやじ!」と声を掛けていたのに、今日は「おふくろ!」と先に声を掛けてしまった。「おやじごめん」と慌ててあやまった。長男はいつもより長く手を合わせていた。

 「望まれない命」というニュースが流れた。命の尊さを子どもだけでなく、親になる人達に伝えなければならない時代になってしまった。私は、「人を敬う」ということばを両親から学んだ。親は子に何を伝えたいか、いや、伝えたいことがあるのか、親になる人達の人間性が問われている。幼い子どもを死に追いやる、現代版「子消し=こけし」だ。子どもを産んだからと言って親にはなれない。まして、幼い子を死に追いやるなど、人間にもなれない。教育に携わり、こうしたニュースを見るにつけ、聞くにつけ、空しさが襲ってくる。

私は、真に教育を追求したいと願っている。「学ぶ事は楽しい」、子ども達には学ぶ楽しさと同時に、学ぶという心の豊かさを伝えたい。そうした思いを持つ先生方が、新たな教育の道を切り開こうとしている。基本は幼児教育であることを十分理解した方々だ。先人達が旅だった後、諸先輩方に追いつき追い越そうとしている、次の世代を背負う方々が行動を起こし始めた。

 今日、父と、この5月に旅だった母の墓をお参りして、ことばにならぬ声を聞いたような気がした。幾つになろうと親子の関係に変わりはない。叱ってくれる父や母のいない人生は、心に一つ大きな穴が開いたようだ。しかし、次は自分に番なのだ。叱らなければならない「子ども達」は多い。次の彼岸には、もう少し成長した「おやじ」になって墓参りにこようと帰り道にそう誓った。

2014/9/20


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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