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もう一つの学習

「生きる」

東北地方の寒波は、これまでの積雪量の記録を塗り替え続けています。5mを超える積雪量は私たちの想像を超え、改めて自然というものの理不尽さを感じざるを得ません。私たちは、日常的に「休日には自然と接し…。」という意味のことをよく口にします。このときの自然とは何をさすのでしょう。

今日は朝からアクシデントがあり、電気が通じなくなりました。当然ながら電子機器は何も動かず、電話も通じない有様です。私たちは、どんなに科学が進歩しても、地震や大津波という大自然の引き起こす驚異の前では何もできません。そして、電気という自分たちで作り上げたものにまで翻弄される始末です。私たちの生活は、最早電気なくしては成り立たちません。このような経験をすると、子ども達に伝えるべき学習には、もう一つあることに気づきます。もう一つの学習、つまり「生きる為の学習」です。

「生きる学習」、つまり、生活する上で工夫や知恵のことを指します。物事に依存しがちな生活ではなく、「生活に知恵を」と題した学習が必要になります。この分野は、幼児であれば「知覚=ちえ」であり、小学生(低学年)であれば生活科ということになります。特に料理などは食材から作り上げるものですので、工夫や知恵が随所に見られます。生活は、子どもにとってもう一つの学習となります。そこには、生活していく上での工夫や知恵がふんだんにあり、また、具体的経験体験の宝庫です。机上の学習だけでなく、子ども達にとっては至る所が学習の場となります。学校の行き帰りの道ですら学びの道となります。

自然は豊かで優しいとは限りません。時に情け容赦なく私たちを苦しめます。死に追いやることすらあります。だから自然といえるのでしょう。「自然に接する」とは、海や山、川など、豊かな水と木と草をイメージします。蒼く澄んだ空も。しかし、それは自然の極一部であることを伝えなければなりません。火山・地震・津波・台風・日照り・豪雨等も自然です。

多くの教育機関が合宿活動を行います。その中で、火をおこす経験をした子どもも多いことでしょう。時にはサバイバルで、鶏などを生け捕りし調理するという体験まで行う機関があります。これを行き過ぎと思うか、それもありかと思うのか判断に悩むところです。しかし、これも生きる為の大切な授業といえます。

平成の時代に生きる子ども達は、仮想現実(バーチャル)が多すぎてしまい事実を捕らえにくくしているように思います。今後「生きる」をテーマにもう少し考えておく必要がありそうです。

2013/2/25


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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