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「人が引き受けて成すべき任務を全うする」

責任ということばには、法律的な面から社会的な刑事責任、また、個人的な民事責任がある。私は、もう一つ人道的責任があると思う。

神奈川の厚木市で白骨化した男児の遺体が発見された。亡くなった男の子は、人間としての尊厳を、実の両親から奪われた。餌と化した食事を僅かばかりに与えられ、人間としての成長発達を止められた彼は、ペット同様で、スプーンなどを使って食べることすら教えられていなかったという。彼は何の為に、この世に生を受けたのだろう。彼のことを「居所不明児童」と呼ぶ。その数は全国で700名とも900名とも言われている。

去年の8月、大阪富田林市の河川敷で重機を使い遺体捜索をする大阪府警捜査員の姿があった。10年に及び行方不明の男の子の遺体捜索だった。しかし、遺体は発見できなかった。この事件をきっかけに、「居所不明児童」のことが問題視されるようになってきた。我が国では、2分に一組の割合で離婚があるという。多くの子ども達は、この二文字で表される単語の犠牲となっている。

私の大好きな女優さんである樹木希林さん。彼女がインタビューで、破天荒な生き方をされている夫の内田裕也さんとのことで、私は離婚をしない、ときっぱり断言した。共に理解し納得して結婚したのだから離婚する理由などない。結婚すると言うことは互いに人生の責任を負うことなのだから。このことばをさりげなく言い放つところが凄い。人と人との関係が希薄な社会では、より弱い立場の人が多くのプレッシャーを受ける事になる。亡くなった男の子は、人間として扱ってもらえなかった。教育を受けさせてもらえなかった。申し訳ない言い方だが、ペット以下の扱いだ。

結婚をして、子どもが授かった瞬間から、互いに我が子の幸せを築き守るという夫婦でしか出来ない責任がある。その恩を受け、子どもは成長し、そして良き伴侶に恵まれた後次の世代へ恩を返すことになる。親の思いは子どもに、子どもの思いは次の世代へと、慈しむ心のリレーが行われる。親は、子に残すべきはモノやお金ではない。男親は男親として、女親は女親として愛情を注ぐことが心に残る財産となる。教育も同じだろう。子どもに施す教育は、心が伴わなければならない。しかし、残念なことだが、子が親を殺害し、親が子を殺害する事件がニュース欄を賑わしている。決してあってはならないことだ。

家庭という基本社会の崩壊は、そのままこの国を形作ることになる。だから、人間関係も希薄になる。親になりきれない未熟な大人達、彼らを見守るのはその親たちだ。団塊の世代は、子ども達に何を教えてきたのか。貧困に悩み、物も無い時代を生き抜いてきた世代だ。物質的貧困からは抜け出せたが、以前より心の中は寂しく貧しいものとなっってしまったようだ。親は、大人になった子ども達を叱る勇気を持とう。親の責任を全うすべきだ。大人の責任を全うすべきだ。

私には、「馬鹿者!」と叱ってくれる親はもういない。墓前に向かっても何のことばも返ってこない。間違いなく、私の番が回ってきたのだろう。私には責任があるのだから。

2014/6/3


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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