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ザ・授業

「緊張感が楽しい」

「先生:計算はどこの位からしますか?」「生徒:一の位からです!」これは、集団授業の際に行われる子どもとのやりとりです。このように、文章に書くと臨場感も伝わらず、子どもが緊張感を持って臨んでいることも伝わりません。この授業は、私流のもので、「スリル・スピード・サスペンスタイム」と呼ばれるものです。このブログに良く登場する新潟県長岡の保育園の園長先生方が30年ほど前、私の授業を見学された際、大変驚かれ、職員の先生方への研修を決断されるきっかけにもなりました。何に驚かれたのか、後ほどお聞きしてみると、「授業のスピード感、子ども達の集中力、そして、味わったことのない緊張感に包まれながらも楽しそうに学習している子ども達の姿に感動しました。」とおっしゃって頂きました。

この授業、時間的には1時間程ですが、常に、早い展開で行われているのではありません。ご見学された授業は小学2年生です。授業は、カード学習:単元内容の説明解説:全体演習:個人演習:まとめ学習という内容で組まれています。カード学習は、後にパターントレーニングという名称に変更されました。

授業は、一方通行で行われるべきではありません。子ども達との呼応動作・共鳴動作が必要です。最近、一体感を感じる授業が非常に少なく、半ば一方的な授業が多すぎるように思います。「子ども達の声をもっと聞きたい!」そんな思いでこの授業構成を考えました。この「スリル・スピード・サスペンスタイム」名前の通り、授業の中の全体演習時間で行われます。実はこの時間、答えられないと立たされるのです。毎回10~15回はあてられる授業です。子ども達は自然に真剣にならざるを得なくなります。質問は、単純なものから、高度なものまで、多種多様です。その日の子どもの状況、学力の違い、性格等を考慮し、問題を変えます。見ていれば答えられる、聞いていれば答えられると言うのがこの授業の基本となります。この様に、見ること、聞く事を意識させる授業は、一般的にみて存在していないように思います。プリンスジュニアでは、「見る力」「聞く力」という目標があり、その為の授業が行われています。授業の基本はここにあります。先生の話を聞くことが出来ない子どもの増加は、彼らに責任があるのではありません。指導力の無さと、家庭力の低下が原因です。

その為、これからの授業には、少しの間でも緊張感漂う空気の中で行う事が要求されます。それは、楽しさと共に、クラスの一体感が伴うものでなければなりません。個人が尊重されすぎている昨今、これからの教育には、チームで行う共同作業を体感体験することが求められているのです。何故なら、彼らは、数年後社会に出て行くからです。

先日TV取材を受けた「ジャニーズJRの真実」は実に多くの事を私達に問いかけています。舞台裏を包んでいる緊張感、急な振り付けという変化に対応する彼らを支えたのは、その場を作っている緊張感と一体感でした。その後のステージで得られた達成感こそ、平成の時代にいきる子ども達に必要な力ではないかと思います。これは、授業に活かせるはずだと確信しました。共有・共感・一体感・緊張感・努力・見る・聞く・自己解決力・助け合い等、学習や授業を支える大切な言葉が数多く感じ取れるものでした。

ジャニーズJRの子ども達に対し、振り付けをする方、その場の雰囲気は、私達が目標とする授業の形そのものではないでしょうか。どちらも真剣に臨むその姿に、もう一つ光輝くものを感じました。それは…。

2012/10/18


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫


石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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