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ことばのロジック

「あのね」お母さんは聞き上手に!

「思考力を高めるにはどうしたら良いですか」というご質問を多数受けました。以前は「集中力」についてよく聞かれました。良くお解りの通り、思考力も集中力どちらも簡単に高めることはできません。短期間では無理とお考え下さい。評価5の子ども、小学6年生でおよそ3万7千語の語彙数を持っています。対して、評価3の子どもは、1万6千語です。これだけでも集中力と思考力に差が生じます。評価6の子どもは月間あたり30~80冊の本を読みます。対する評価3の子どもは3~5冊です。楽しては思考力も集中力も上がりません。

先の質問、ベストアンサーは「本を読みなさい」でしょう。集中力・思考力を高めるには読書が一番です。ただ、どちらもそれだけでは不十分です。特に思考力には論理性が必要です。ところが、この見えない論理力が落ちてきているのです。それは意外にもコミュニケーション不足から来ています。コミュニケーションの基本である会話ができなくなってきているのです。メールやラインはできるのに、直接会話ができません。会話とはことばのキャッチボールです。子ども達同士、会話をしているように見えても、どこか事務的で連絡のような会話が多くなってきています。これは、間違いなく原因は幼児期にさかのぼります。ことばのかけ方についてはまた機会を見て述べたいと想います。

会話になるにはきっかけが必要です。話しかけるにはだれもが共通して持っていることばがあります。これは幼児がが良く使うことばでもあります。それは「あのね」ということばです。こどもがこのことばを投げかけてきたらしっかり聞くようにして下さい。時に話に出てくることばを繰り返したりして、話しを促します。こうして、会話、つまり話すことを通じて話しにロジック(論理性)ができてきます。

親も子も、双方共に「聞く耳を養う」ことが大切だと想います。子どもの場合は、読み聞かせで耳を鍛えてきます。特に幼児期は大切で、人の話が聞ける子どもほど集中力もあり、語彙数も豊富です。また、親は、ある時期から(3歳半ごろ)小言が多くなります。同時に、指示命令語が増し、子どもが話しかけても「あとでね」という返事をすることが多くなります。子どもにとって覚え立てのことばを使い、多くの表現を試していきます。この時期は興味関心が高まる時期でもあり、知的成長が高まる時期です。ところが「あとでね」と突っ返すことで、子どもの興味は薄れ、話すチャンスも奪われていきます。将来的に、我が子の思考力を伸ばしたいとお考えなら、子どものことばに耳を貸してあげて下さい。聞き上手なお母さんになって下さい。

会話ができない、そんなことと想うかも知れません。でも、「人と話をするにはどうしたらいいの?なんて話しかければいいの?」と悩む小中学生が増えています。特に同年齢に対して何を、どう話したら良いか悩んでいます。この子達に共通するところは、いきなり「昨日○○をした。」と話し始めることです。これは、相手が受け止める準備なしに、ボールを投げるようなものです。投げられた方は唖然とします。コミュニケーション、つまり、相手のことを考えるという基本が備わってないから、このようなことが起きます。話したいのに話せない。本人にとってはかなり辛いことです。だから、私はそんな生徒の聞き役に回ります。いつ、ボールを投げてきてもいいように準備をしておきます。

2013/10/11


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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