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数・算数・数学を学ぶ


数タイル

「一貫性」

私達は数指導に「タイル」を使用している。そして、このタイルを幼児期から小学生へ系統的に指導しているのは、たぶん私達だけだろう。その指導範囲は、このブログで何度も述べてきたが中学生の数学にまで及ぶ。指導に於いて重要な事は、指導内容の一貫性だと思う。小学校の指導では、一人の教師がほぼ全ての教科を指導する。基礎教育を指導するにあたり、中学校以上の学校が行う様に、教科別担任制を持って指導すべきではないだろうか。多くの教師が独学で教科指導を学んでいる。算数に特化した研修が常時あるとは限らない現状で、教師にも大きな負担がかかってくる。特に、算数指導では、担任によって指導法が異なる事が多い。具体物を多用し説明解説する先生がいれば、反面、数字だけの指導に徹する方もいる。指を使った計算を奨励する方もいる。また、指導が異なることは塾に於いてもあることだろう。指導理論と言うより、指導テクニックが優先されるケースもある。このような事から、数の学習にも理論的背景を持ち指導する事が臨まれると私は考えている。

興学社学園プリンスジュニアの先生方を指導研修するにあたり、そして、これからの教育の行方を考え、全面的に指導理論の一貫性を全面に押し出した。これは、かなり難しい事で、今までの刺激型幼児教育から指導型への大きな転換を意味しているからだ。更なる課題は、理論研修だ。しかし、この幼児期の数指導に理論を持ち込んだことで、後々に大きな影響を及ぼすことになる。その理論とは、別名「水道方式」と呼ばれ、正式名称「分析総合法」がそれだ。「分析」と名が付くだけに、今までの刺激型、いわゆる単純な「能力開発」ではなく、思考・想像・推理等を必要とする「発展的能力開発」となった。

実践に入り、暫くして「数セミナー」が各教室で開始された。そこに参加された保護者は、タイル指導に踏み切った意味を知ることになった。何故なら、大小比較から、中学生の因数分解まで、より具体性を帯びた指導が展開されるからだ。

塾の先生からも質問がくる。「タイルで時間と速さと距離を指導したいが…」、図をご覧頂いてお解りの通り、一般的に「き」「は」「じ」と呼ばれる指導に対し、このタイル指導では、2年生のかけ算と同じ指導で説明が出来る。

かけ算は、「一あたり量」×「いくつ分」=「全体の数」

として、指導する。これは、「もとの数」「加える数」「全部の数」という足し算指導と変わりない。原則は同じで、形態が変化するだけだ。この一般的な式の構成を理解していくと、少なからず数の3者関係というものが見えてくる。「4kmの5倍の長さは?」「時速4kmで5時間走った距離は?」高学年で悩むこの「距離:速さ:時間」の関係も、基本の3者関係を理解している子は、理解に多くの時間を必要としない。ここに「一貫性」を基本にした数指導の素晴らしさを見ることが出来る。プリンスジュニアの先生方は、驚くほど、日々進化されている。研修と指導を重ねる毎に、新たな疑問にぶつかっている。それだけ、本物に近づいているといえる。こうして、先の学習に触れる事で、1年生の足し算の指導が如何に大切かを知ることが出来る。すると、就学前の幼児に、数指導で大切な要素が見えてくる。「うちの子は計算が出来ます」ということばの怖さを知ることができる。計算が出来ると言う事と、算数が出来る事とは大きくかけ離れているからだ。そして、子ども達の状況を判断し、適切な指導が行われるのだが、そこには子ども達を「分析」した状況から「総合」的に判断される「分析総合法」の考え方が見え隠れする。

2012/9/13


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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