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12月29日/2021

(続き)パノラマ台を後に。帰り道の分岐。帰りは別の道。選んだのが事の始まり?。10分ほどのはずの南アルプス展望の場所。急激に上り坂に進む。両手で岩をつかまないと登れないほどの急坂。やけに長い10分。アプリの地図を見てみると南アルプス展望地点は過ぎている。木々の合間から南アルプスの勇姿は垣間見れているのだけど、そんな場所を通り過ぎた記憶はない。ま、いっかとは思いつつ。ここから帰り道の分岐点に戻るには今登って来た急坂を下りなければいけない。ちょっとそれは勘弁だし。アプリの地図によるとこのまましばらくいけば下に降る分岐点があるはず。このまま進もう。小一時間もすれば精進湖に戻れるはず。最初登って来たハイキングっぽい道とは全然似ても似つかないアップダウン満点の岩道を進む。枯葉に覆われた急坂に差し掛かる。標識も出ていないがマップによるとここが分岐点。はるか下を臨む。えっまじ!!ここを降れって?!!。このマップ信じていいのかな?。でも。下りないと帰れない。さあ、無事に下までたどり着けるのでしょうか??。道らしきものが枯葉の中にかすかに見て取る事ができる。枯葉に足を取られないように恐る恐る足を運ぶ。全集中で下る。足は取られるがまだ一度も転んでいない。早く道らしい道に戻りたい。と思う期待は間も無く裏切られる。水が枯れた沢道のような岩だらけの難所。しかも輪をかけて急坂。ここを進めと?。パノラマ台から素直にもと来た道を変えればよかった。などと言っても後の祭り。ここを頑張って降りるしかない。マップを見るとまだまだ下までの道のりは遠い。大きな石を乗り越えては下りて行く。これはけっこうな冒険だ。つるりと足でも踏み外したら大怪我だ。もしかしたらそれで済まないかもしれない。ここでも最大限の全集中。しかし、膝を岩に思いっきり打ちつける。超痛い!!。岩の上に座り込んだまま立てない。ヤバい。このまま立てなかったらどうしよう。痛さよりもそっちの不安感の方が大きい。ここは人気の登山道ではないし、人の気配は全然ない。雉だか猿だかわからいけど、キーキーという鳴き声と生き物が枯葉の中を走るザーッという音。気配。自然の中に放り出された恐怖というものが垣間見られる。しばらくそんなお恐怖にさらされていたら、足の痛みも引いてきた。立ち上がる。よし行こう。ここでマップ確認。道を外れてる。どうりでこんな道。とか言ってる場合じゃない。ちゃんとした道に戻らなくちゃ。カーナビみたいに行き先を案内してくれるわけじゃないから適当な自分の感を信じて道を取る。自分の進行方向がマップの示す道と重なる。道もそれほど険しくなくなった。どうかこのまま行ってくれ!!。といった願いも打ち消される。目の前の視界を塞ぐ砂防ダムの壁が現れる。マジか?。マップにはそのまま真っ直ぐに道が示されている。どうやってここを超える?。呆然と壁の前に立ち尽くす。進撃の巨人が頭に浮かぶ。自分は巨人になれないから現前の壁を破壊することも越えることもできない。しかしここを越えないと下に戻れない。なんかとんでもないことになったな。とちょっと自重気味に冷静発言を自分の頭の中で繰り広げていると壁の左のはじにチョロっとロープが垂れている。あれか。まさに問題解決の糸口。急いでロープにしがみつき壁の横の土手を登る。どうぞ世界が広がっていますように!!。今回は望みを断ち切る現実はまっていなかった。ロープをたぐり寄せるとダムの向こう側に続く道が確認できた。向こう側に出て同じようにロープを伝って降りる。やった!!。越えられた。その後、また枯葉の中の坂道。間も無く人家?発見。人の世界へ戻れたかも。舗装の道。あっけなく終わりを迎えた。舗装された道をしばし歩むと車を止めた駐車場へ出る。何事もなかったように車は律儀に自分を待っていてくれた。見慣れた精進湖の景色と富士山。いつも見慣れていたはずの精進湖の裏山にこんな世界が広がっていたのかと改めて世界の奥深さを感じた次第。なんてもんじゃないなあ。無事に生きて帰ってこれて本当に良かった。なんて大層なことでもないか。さて、次はどこに行こうかな?。

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