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九州踊る!物語 その8 【ヤマシタ編】

拝啓 踊りたいあなたへ
会社を辞めた日。学校を辞めた日。夢を諦めた日。誰にも理解されなかったあの時。自分の居場所が見つからず、やりたいことが見つからず。こんな自分は誰かの役に立っているのか。誰かに必要とされているのか。自ら踊ることなどできず、誰かに踊らされるような毎日が続く。なんか違う・・・と感じながら、それでもなお続く自分じゃない誰かのルールで生きる、毎日のループ。抜け出せないんだよね、なかなか・・・

僕は、16歳無職の少年だった。

挫折して、何かを辞めたり、諦めたりするってのは、ものすごく苦しくて、自分に絶望し生きた心地がしない毎日。誰にも会いたくなくて、16歳無職の少年は、3ヶ月以上薄暗い部屋に一人で閉じこもっていた。母と死んだ祖母が、そんな僕を見て毎日のように泣いていた。あの時、従兄弟のリンタローから自分にかけてもらった言葉を憶えてる。「ケンタの人生ってさ、ケンタにしか歩めないんだよね。ほかの何にも、誰にもとって変えることはできないのだから、これはありがたい人生なんじゃないかな。」ってね。

未来は変えられるというけれど、挫折や失敗した過去さえも、自分次第で意味が変わっていく。誰かのせいにしたくなる日もあるけれど、そうやって生きるのが、一番簡単な逃げ道と知っている。後退と思える出来事さえも、いつの日か振り返ることができたなら、あの日が前進したスタートラインだったと、そう思える日を迎えに行こう。

そうして、九州の離島「甑島」に戻って10年がたった。正直なところ、あの時の自分へのアンサーは、まだ見つかっていない。でも、何かに向かってありのままに生きていたら、そばで一緒に泣いてくれたり、笑ってくれたり、悩んでくれたり、歌ってくれたり、踊ってくれたりする仲間が知らず知らずのうちに増えたような気がしてる。

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自分らしく自分の命を生きていく。

九州は、自然でいられる場所だと思う。自然にならい、自然と共に生きていけば、答えはそこにある気がしてる。島では、踊りっていうのは、決して特別なハレの日だけのものじゃない。特に鹿児島から沖縄にかけての島々では、日常の暮らしに島唄や踊りがいつもある。悲しい時、嬉しい時、寂しい時、喜びの時、別れの時。いつだってそばにあるもの。どんなときもそれでいいのと、教えてくれる。人生は踊りだ。踊る九州、踊りたくなる九州。

16歳の少年へ
僕は今、ちょっとだけ踊れているかもしれない。あの時、自分に正直に生きたからそう思えるのだと今思う。

(九州地域間連携推進機構株式会社 取締役 ヤマシタケンタ

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NPBでは、踊りたくなる九州をつくる仲間を募集しています。
エントリーは9/1 まで。

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リレー企画ほかの作文はこちらです。
その1(永山編)
その2(門間編) 
その3(田鹿編)
その4(中井編) 
その5(土屋編)
その6(木藤編) 
その7(冨永編) 


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